現行RadeonやRTX 2070の差をチェックする
それでは今回の検証環境を紹介しよう。第3世代Ryzenのレビュアーズキットのパーツをそのまま使用する。CPUについてはRyzen 7 3700XかRyzen 9 3900Xのどちらを使うか迷ったが、12コア24スレッドのRyzen 9 3900Xでもシングルスレッド性能でCore i9-9900Kに比肩しているため、3900Xで検証を行なった。レビュアーズキットにないパーツは電源ユニットやCPUクーラー位のものである。
また、比較対象のビデオカードはRadeon VIIを筆頭にVega64/56、そしてPolaris系の最上位であるRX 590、さらにライバルGeForceとしてZOATAC製のRTX 2070搭載モデルにRTX 2060 FE(RX 5700と同じ価格設定)を準備した。ドライバーはその時点における最新版、即ち現行RadeonについてはAdrenalin Edition 19.6.3を、GeForce系は431.18(hotfix)を、RX 5700シリーズ用はレビュー用に用意された19.7.1をそれぞれ用いた。Anti-Lagをはじめとするドライバーの設定は何もせず、デフォルト設定のままで計測することとする。
| 【検証環境】 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 9 3900X」(12コア/24スレッド、3.8~4.6GHz) |
| ビデオカード | AMD「Radeon RX 5700XTリファレンスカード」、AMD「Radeon RX 5700リファレンスカード」、AMD「Radeon VII リファレンスカード」、AMD「Radeon RX 64リファレンスカード」、AMD「Radeon RX Vega 56リファレンスカード」、ASRock「Phantom Gaming X Radeon RX 590 8G OC」(Radeon RX 590)、ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 MINI」(GeForce RTX 2070)、NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」 |
| マザーボード | ASRock「X570 Taichi」(AMD X570) |
| メモリー | G.Skill「F4-3600C16D-16GTRG」(DDR4-3200で運用、8GB×2) |
| ストレージ | GIGABYTE「GP-ASM2NE6200TTTD」(NVMe M.2、2TB SSD) |
| 電源ユニット | SilverStone「ST85F-PT」(850W、80Plus Platinum) |
| CPUクーラー | Corsair「H110i」 |
| OS | Windows10 Pro 64bit版(May 2019 Update) |
ゲームではPCI Express Gen4は関係なし
今回のGPUレビューではGPUのアーキテクチャーが変化しただけでなく、CPUにチップセット、さらにCPUーGPU間の接続バス(PCI Express)も新しくなっているため、なぜ速い(遅い)かという分析が少々やりにくい。CPUとチップセットは各環境で統一されているからまあ良いとしても、PCI Expressの世代の差が描画性能に関係があるのかを確かめておかないと、結果の考察ができない。
そこでまず最初に、第3世代Ryzen+X570マザーボード+RX 5700シリーズの組み合わせでのみ成立するPCI Express Gen4がベンチマークに影響するのか、しないのかを検証する。自作PCの経験豊かな人ならPCI Express Gen3とGen2の違いは軽微であることを知っているはずだが、今回もそれに当てはまるのだろうか?
とりあえずRX 5700シリーズだけで「3DMark」のスコアーを比較してみよう。今回の検証用マザーボードはBIOS上でGPUに接続するPCI Expressバスのモードを任意に設定することができる。今回はこれを使用してGen4とGen3で差が出るか確かめてみた。Fire Strikeを筆頭とした定番描画テストのほかに、最新バージョン(v2.9.6631)より追加された“PCI Express feature test”も試してみる。
RX 5700シリーズは史上初のPCI Express Gen4接続GPUではあるが、3D系ベンチでは全くといって良いほど差が出ない。微妙にスコアーがGen4の方が高い(低い)場合もあるが、これはスコアーのブレの範囲だ。
しかしながら、PCI Express feature testではGen4の方がCPUからGPUへのデータ転送量が6割ほど増えている。ただこのテストは普通のゲームでは使わないような処理で負荷をかけているため、実際のユースケースに当てはまるとは言い難い。細かいところだが論理的な帯域がGen3→Gen4で2倍になるのに実際は6割増という点も注目すべきだろう。
3DMark以外にもうひとつ実ゲームでも変わらないか確認しておきたい。ここでは「World War Z」を使用する。APIはVulkan、レンダースケールは100%、アニメーション品質と画質は“ULTRA”とし、ゲーム内のベンチマークモードを利用して計測した。
実ゲームでもGen4がGen3と差がないことが確認できた。Gen2にしても性能が誤差程度にしか変化しないゲームが多い現状では、Gen4はゲームのためではなく、マルチギガビット以上の高速LANやSSD等がメリットになるといえる。

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