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リアルな導入効果、成功パターン、ユーザー事例まで語り尽くす

仕事を変えるビジネスチャット、ChatworkとLINE WORKSのトップが語る

2019年07月02日 09時00分更新

文● 重森大 写真●曽根田元

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 Chatwork 代表取締役CEO兼CTO 山本正喜氏と、ワークスモバイルジャパン 代表取締役社長 石黒 豊氏。イベントなどで同席することはあっても、面と向かって語り合ったことはなかったというふたりに、なぜいまビジネスチャットが注目されているのか、どのような効果をもたらすのか、じっくりと話を聞いた。話題は働き方改革から、チャットの未来像にまで広がった。(聞き手は、アスキー編集部 大谷イビサ 以下、敬称略)

ビジネスチャットと個人向けチャットとの最大の違いは統制ができるかどうか

大谷:まずはそれぞれの自己紹介と、製品の紹介から聞きたいと思います。

山本:私は2004年に兄とともに学生起業しました。2000年代のインターネットバブルの中で、若者でも商売になるらしい、何かしてみたいといてもたってもいられず、起業しましたね。ホームページへの集客支援など、基本的には中小企業のIT化支援をメインに、いろいろなプロダクトを開発しました。自社で使うプロダクトも多く作っていて、そのひとつがChatworkでした。

大谷:必要に駆られて作った社内ツールが、事業につながったんですね。

山本:そうですね。自分たちでも困っていたから作った物を、社外に見せたらぜひ売ってくれと言われ、2011年3月にリリースしました。当初はメディアにもあまり取り上げてもらえませんでした。当時はSNSが盛り上がっていたこともあり、今更チャット?という空気感でした。ビジネスチャットという呼び方もキャッチーではなかったようで、最初はけっこう苦戦しましたね。

石黒:私の場合は、社会人として生きていく中で一度は起業、もしくは本当の立ち上げの所からビジネスに関わってみたいという気持ちがあり、そのチャンスを得たのがワークスモバイルジャパンでした。ご存知の通り、2011年の東日本大震災の際に電話がつながらず、コミュニケーションに支障をきたした方がたくさんいらっしゃいました。

そうした背景からSNSやチャットが急速に広まったことを受けて、これはビジネス用途にも活かせるのではないかと、新たな法人を作って取り組んだのがワークスモバイルジャパンです。LINEをイメージされるお客様が多いので、LINE WORKSのインターフェイスはあえてLINEを意識したデザインになっています。

大谷:Chatworkが「いまさらチャット?」と言われたように、プライベートではチャットというツールは以前から存在していました。SNSが広がり、Facebook Messengerでグループを作れば十分と言う人もいます。これらの個人向けサービスとビジネスチャットとは、どのような点に違いがあるのでしょうか。

山本:さまざまな違いがありますが、一番大きな違いは組織としてユーザーを管理できるという点ですね。個人向けのメッセンジャーツールは個人と個人がフラットで使うことを前提としているので、ユーザー権限や管理者という概念自体がないんですよね。企業で使うためには、階層的に部署があり、入社する人、退社する人がいる前提のシステムになっていなくてはなりません。

Chatwork 代表取締役CEO兼CTO 山本正喜氏

たとえば個人向けのチャットツールを仕事でも使っていたら、その人の手元にビジネスの情報が残りますよね。でもプライベートで友人との連絡にも使っているので、「退社したからアカウントを削除してください」とは言えません。Chatworkならデータはクラウドにあるので、ログインを停止すれば閲覧できなくなります。ほかにも接続先の制限や監査など、自社に管理者を置いて統制ができるかどうかが、個人向けツールとの最大の違いです。

石黒:山本さんがおっしゃるようにガバナンスを効かせられるというのは、LINE WORKSもまったく同じ考えです。監査ができるというのも同じ。ログを残して監査できるようにしておくというのは、コミュニケーション上でのセクハラやパワハラを抑止する効果もあります。制限すると同時に社員を守ってあげる働きもある、そういう概念も個人向けツールにはない大切なポイントですね。

山本:使い方の違いという観点から言うと、プライベートのチャットってせいぜい十数人から数十人の友達とやりとりするのが中心ですよね。それに対して会社では何百人が同じツールでつながるので、コミュニケーション量が圧倒的に違います。大量の通知が届いて重要なものが埋もれてしまったり、必要な話題に気づかずに流れてしまったりということがないようにしなければなりません。ビジネス用に最適化されたユーザーインターフェイスを意識した設計なされているかどうか、そこも大きく違うところだと思います。

チャットがビジネスにもたらす恩恵は速さ、正確さ、生産性の向上

大谷:現場の人たちが実感できるビジネスチャットのメリットってどんな感じなんでしょうか?

山本:チャットによるビジネスコミュニケーションって、やってみると便利だなと感じてもらえますが、やらないうちは現状の不便さにも気づいていないので、意外とわかってもらいにくいということを感じています。電話もFAXもメールもあって、さらにチャットを入れて何が便利になるの?と聞かれたときに、説明しても理解してもらえないというか。そういうことありませんか?

石黒:ありますね。私たちがお客様や販売パートナーさんによく話すのは、FAXやメールってお作法が決まっていて無駄が多いってことですね。誰々様から始まって、お世話になっておりますと続いて、みたいなお作法があるじゃないですか。でも急いでいるときにその数行って必要なんだっけ?と。ずばり本題から入れる方がいいと思うんです。

山本:メールが広まったときに、メールにおけるビジネスマナーがすごく話題になってみんなで勉強しましたけど、ビジネスチャットにはまだそういうものはありませんね。

石黒:単純にテキストだけをやりとりするならメールとチャットは大きく違わないと言う人もいますけど、ビジネスの観点から見て、たとえば写真1枚送るのにどれだけ手間がかかるかって比べると、けっこう大きな違いがありますよね。メールの場合、デジカメやスマートフォンで写真を撮って、それをPCに取り込んで、メール本文を書いて添付してと、数ステップ必要です。ビジネスチャットなら、スマートフォンでパシャッと撮影してそのまま送信すればいいだけ。

山本:メールとの違いで言えば、コンテキストが見えやすいということもありますね。メールの受信箱にはいろいろな話題が全部詰まっていて入り乱れるんですよ。誰が何の件で話しているのか、「了解しました」って伝えたいだけでも、何の件なのか、誰に伝えたいのかというコンテキストを共有するための文章が必要になります。その点、チャットなら話題ごとにグループがあってタイムラインとしてコンテキストが可視化されているので、コンテキスト共有の手間をなくせるんですよね。

石黒:その違いは大きいですよね。あとはスタンプの存在や、使い始めるまでのリードタイムの短さがチャットの強みだなと感じます。多くのITツールは導入後に導入教育が必要で、IT部門や総務部門の方が支店を回って説明会をします。チャットはそれをやらなくても使えます。プライベートで使っているコミュニケーションツールと同じようなお作法でいいんだろうというのがなんとなくわかるので、何をやりとりするのかっていう中身の方に集中できるんです。スピード感が上がりますし、生産性も上がります。

ワークスモバイルジャパン 代表取締役社長 石黒 豊氏

一例ですが、上司にメールで見積書を送り、承認をもらって、取引先に送るまでに数日かかっていたというお客様がいました。いまでは上司の方が一日中会議だったとしても、休憩時間にチェックしてOKってスタンプ1個返すだけで済むので、数日感が2時間に縮まったそうです。見積書ひとつでこれだけの効果ですから、他のところにもかなり多くの波及効果があるだろうなと思いますよね。

山本:使い始めるまでのリードタイムが短くなっている背景には、多くの人がプライベートでITコミュニケーションに慣れてきたという、時代的な側面もあると思います。Windows 95でパソコンがブームになったとき、パソコン教室なんかで「このボタンを押してください」って言うと、指で画面を押す人がたくさんいたっていう話がありました。かつては笑い話でしたが、iPhoneやAndroidなどのスマートデバイスの登場によって、そっちの方が自然で正しい操作方法になりました。

うちの娘は3歳ですが、普通にタッチパネルを操作してYouTubeを見ています。60代の親も、同じように普通に操作できるんですよ。今までのITツールはパソコンを使いこなせる人だけのものでしたが、今は誰の手元にも、簡単に操作できるPC並みのデバイスがある時代なんです。その中でもコミュニケーションツールは、一番身近なものなんだと思います。

石黒:パソコンを使える人だけの特別な技術ではなくなったというのは、その通りだと思います。中には、ITツールだと思って導入していないお客様もいらっしゃるくらいです。小難しいものを使っている感覚じゃないから、ITツールよりもっと身近なものとして捉えているのでしょう。

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