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リアルな導入効果、成功パターン、ユーザー事例まで語り尽くす

仕事を変えるビジネスチャット、ChatworkとLINE WORKSのトップが語る

2019年07月02日 09時00分更新

文● 重森大 写真●曽根田元

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働き方改革を通じて、より幅広い労働者層にアクセスできるようになる

大谷:導入のハードルはとても下がっているという話かと思いますが、導入するときに工夫したり気をつけたりすべきポイントはあるんでしょうか?

山本:典型的なパターンとして、チャットを入れたけどむしろ効率が下がるというケースはあります。内線電話に外線電話にメール、FAXと既存のコミュニケーションがあり、そこにチャットを追加してしまうケースです。見なければならないチャネルがひとつ増えることで効率が落ち、チャットがなかったときの方がよかったと、導入を諦めてしまいます。導入の仕方ひとつで、効率が上がりもすれば下がりもするんですよね。

大谷:既存コミュニケーションにプラスするだけでは意味がないと。

山本:そうです。プラスではなく、チャットの方が効率的になる部分を見極めて、既存のコミュニケーションから置き換えなければなりません。たとえば、プロジェクトの情報共有はメールでやっていたけど、これは今後チャットでのみ行ないますとか、あるいはあるチームだけコミュニケーションをチャットに絞るとか、明確に区分して置換してあげればメリットを享受できるはずです。

大谷:逆に成功パターンはどのような場合なんでしょう?

山本:小さいチームで導入し、チャットに詳しい社内エヴァンジェリストのような方が育ってから全社に広げるというのが、成功パターンのひとつです。

石黒:チャネルが増えることで、別の心配が増えるという声も聞きます。多いのは、使いやすいがゆえに仕事をさせすぎてしまうのではないかというものなんですが、それって携帯電話もメールも同じですよね。たとえば夜遅くにきたメッセージへの返信は翌朝でもいいなど、ルールを作って運用すればそんなに大問題ではありませんよとお話ししています。

大谷:総務部や人事部など労務に関わっている部門は、リモートワークなどで目が届かなくなって働かなくなる可能性よりも、働かせすぎになる方を心配しますよね。政府が主導して法律までできて、働き方改革をちゃんとやらなきゃと考え始めている中小企業も多いと思いますが、ビジネスチャットって現場を変えて働き方改革を進めるのに必要だと感じているんでしょうか。

角川アスキー総合研究所 アスキー編集部 大谷イビサ

山本:ビジネスチャットの存在とその効果を知っていて引き合いが来るケースが、最近特に増えてきてはいます。昔はそもそもビジネスチャットの存在を知らなかったので、課題が顕在化せず不便とも思っていなかったのが、便利なものを知ったことで今が不便だと気づき始めたというか。

石黒:そこは僕らのサービスでも同じですね。今の状況は不便なんだって啓蒙していくフェーズは、ビジネスチャットを提供する私たちがタッグを組んで耕していく部分なんだろうと思っています。

山本:世の中のほとんどの人は、チャットで仕事をしていないので気づいていませんが、チャットで仕事をするのはすごく楽です。それにくらべてメールはとても非効率だし、内線電話は相手の仕事に割り込んで時間を奪う行為だというところに気づいてもらうところからですね。

石黒:そこに気づいてもらい、実際にLINE WORKSを導入して自然と生産性が上がって、それが働き方改革につながったという声を聞いたりすると嬉しいですよね。

山本:そもそも働き方改革を政府が主導しているのは、今後労働人口が不足することが見えているからですよね。人が減っていくのは確実なので、主婦層や高齢者層など今まで眠っていた労働者層を確保しなければなくなります。でも、それらの層がなぜ今まで眠っていたのかといえば、フルタイムで働けないからです。そういう人たちと一緒に働くにはリモートワークが必要になり、そうするとFace to Faceでのコミュニケーションは難しくなってくるし、メールや電話での連絡も効率的じゃありません。そうした柔軟性の高い働き方を支えられるのが、チャットなんです。つまり、チャットを使って仕事をすることで、今後幅広い労働者層にアクセスできるようになります。

社内だけではなく、社外の相手とほどよい距離感を保てる

大谷:実際に効果を上げている事例なども教えてもらえますか?

石黒:複数店舗をチェーン展開するスーパーマーケットのお客様が、商品ディスプレイを共有するのに使っていたりしますね。言葉では伝えづらいけど、スマートフォンで写真を撮って店長同士で共有すれば早いと。

山本:そういった社内での活用はもちろんいろいろありますが、ある弁護士さんは社内ではなく顧問先とのコミュニケーションに使って効果をあげています。士業の方は訪問ビジネスで成り立っていて、月に1回か2回訪問して、相談に乗ったりアドバイスしたりして月額いくらというビジネスをしています。でもこのスタイルではどうしても1人あたりが受けられる件数に限度がありますし、近場じゃないと受けられません。

そこで、顧問先とビジネスチャットでやりとりする形態が増えて来ているそうです。なかにはチャット専業の士業の方もいらっしゃるそうで、訪問しない代わりに金額は安く設定しているみたいですね。これ、お客さんにもいいことだと思うんですよね。顧問弁護士の先生に電話で問い合わせるのって緊張するし、来るのを待つのは時間の制約があります。チャットなら気楽に相談できるし、マネージャークラスもチャットグループに参加させておけば質疑の情報共有もできます。こういった、取引先とチャットを使うケースは、これから増えて行くのではないかと思います。

効果を上げているユーザー事例についても話してもらった

石黒:社外とのコミュニケーション事例が増えているのは、LINE WORKSでも同じですね。BtoCビジネスをやっていると、個人のお客様をいかに獲得し、囲い込むかというのが大切です。そこで、チャットというコミュニケーションがほどよい距離感を保てるとおっしゃっていました。今すぐ電話をするほどではないけど、メールだとかしこまってしまうので面倒くさい。チャットはその中間くらいの距離感でコミュニケーションを取れて、実際に受注率もあがったそうです。

商談サイクルが短くなるとおっしゃるお客様もいらしたので、お客様とのコミュニケーションに効いているのは確かだと思います。面白いところでは、住宅展示場での例もあります。最近は来場者アンケートに住所や電話番号などの個人情報を書いてくれない人が増えているらしいのですが、LINEのIDなら教えてもらえるそうです。ほどよく距離感があるんでしょうね。

山本:カスタマーサポートもチャットが効果的だと聞きますね。

大谷:士業や小売り、カスタマーサポートと、社外とのチャットは増えていく傾向なんですね。

山本:そうですね。でも私はメールを否定する訳ではなく、初めてコンタクトを取る一見さん向けには向いていると思っています。最初はメールが楽だし、複数回やりとりが続くようならチャットに移行した方が楽だと思っています。そういう意味で、コンシューマー向けの窓口としてメールは残り続け、取引先や顧問先、コンサルティング先など頻繁にコミュニケーションを取るのはチャットに移っていくのではないでしょうか。

ふたりが見るチャットの未来とは?

大谷:最後に、ビジネスチャットの今後の展望を聞かせてもらえますか? 機能面での進化だけではなく、使われ方などビジネス的な観点からもお願いします。

石黒:チャットをフロントにして、さまざまなシステムやサービスを簡単に使えるような世界になっていくのではないかと思います。それはビジネスパーソンにとっても、その人からの申請を承認しなきゃいけない上司にとっても、あるいは他の部門の方や協業する会社の方にとっても便利な世界になると思っています。そのために、ITリテラシーの高い人だけが使えればいいというツールではなくなっていくでしょう。日本には約390万の企業がありますが、そのほとんどが中小企業さんで、普段パソコンなんか使いませんという方にもチャットを使っていただけなければ、先進国の中で最も生産性が低いという状況から脱却できないと思います。

山本:機能面での進化という観点では、チャットサービス同士の連携がこれからはどんどん進むでしょう。その中で、チャットは次のOSのようなものになると予想しています。チャットボットにしても人の手を介したものにしろ、いろいろなコミュニケーション機能がそれぞれアプリケーションみたいなものですから。たとえば他のサービスと連携してニュースが流れてくれば、それはもうニュースアプリみたいなものですよね。そういった連携が進んで、いろいろな情報が集まってくるという世界観が広まっていけば、チャットに情報が集約されてチェックも楽になります。

大谷:チャットがサービスのプラットフォーム化していくということですね。

山本:そう考えています。メールの一番いいところって、全員が同じプロトコルでやりとりできることなんですよね。チャットも共通の機能セットやプロトコルが標準化されて、その範囲でサービスの垣根を越えてコミュニケーションを取れるようになるのではないかと。そうなれば、それぞれ自社のビジネススタイルに合うビジネスチャットを選択できる時代が来るでしょう。職種や立場に合わせたビジネスチャットを選択できて、相互にやりとりできるような世界が、恐らく10年から20年の間には来るのではないでしょうか。

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