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ペーパーレスでも、働き方改革でもないのに業務は大きく変わる

買付価格すら変える「流通の情報流」をnimaruとLINE WORKSで構築した横浜丸中青果

2023年06月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真提供●LINE WORKS

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 神奈川県藤沢市にある湘南藤沢地方卸売市場で、青果の卸売を手がける横浜丸中青果。農産物流通特化型SaaS「nimaru(ニマル)」とコミュニケーションツールのLINE WORKSを導入し、新鮮な青果を生産者から販売店に送り届けるための情報流を構築した。現場での導入を主導した横浜丸中青果 湘南支社の岡山俊明氏に話を聞いた。

横浜丸中青果 湘南支社の岡山俊明氏

市場の民営化から10年超 nimaruでアナログな集出荷の連絡にテコ入れ

 横浜丸中青果は横浜丸中グループの子会社として野菜や果物などの青果の卸売を手がけている。生産者である農家やJA(農協)から青果を仕入れて、小売店や仲卸に販売するのが横浜丸中青果の役割だ。今回、お邪魔した藤沢市の湘南藤沢地方卸売市場は、2012年に全国で初めて民営化された卸売市場で、横浜丸中青果 湘南支社はその市場内で青果の卸売を手がけている。

 長らくITの企画職に携わってきた岡山俊明氏が、社長である原田 篤氏からの招聘を受け横浜丸中青果に移ってきたのも民営化のタイミングだ。入社後は藤沢市の「湘南野菜」のリブランディングを手がけ、生産者からの集荷を始め、県内外から新商品を集めたりして、競争力を高めるなど、今までの卸売市場ではやらなかったチャレンジを進めてきた。

紫のラベルが目印の湘南野菜

 こうした施策の中の1つとして導入されたのが、スタートアップのkikitoriが提供する農産物流通特化型SaaSのnimaruだ。nimaruは電話、手書き伝票やFAXなどで行なわれている出荷者との集荷・販売連絡、送り状・販売原票の作成、資材の受発注など流通現場でのやり取りをデジタル化する。

 横浜丸中青果でのモノと情報の流れを整理しておこう。生産者は、自らの畑でとれた野菜や果物を、青果市場に納品しに行く。青果はだいたい夕方から夜までに市場に納品される。次に深夜から早朝にかけて卸先や小売店に配送される。配送は早い場合23時頃で、早朝が最終便だという。「在庫しない限り、商品自体はおおむね12時間以内に動きます。青果の流通は、鮮度が命なので」と岡山氏は語る。

 この物流のスピードに出荷情報も追いついて行かなければならないのだが、今までは紙や電話、FAXによるアナログな手段だった。もちろん、アナログのオペレーションは現場で研ぎ澄まされてきたのだが、紙や電話の非効率さはいかんともしがたい。「電話でのやりとりだと、受けた人が発注元や注文数を忘れてしまうこともあるし、担当者しか作業ができないのも課題でした」(岡山氏)。こうした課題を解決すべく導入されたのが、nimaruになる。

生産者はLINEで出荷登録を簡単に 市場はLINE WORKSで情報共有を速やかに

 横浜丸中青果のnimaruの役割として、生産者による出荷情報の登録が挙げられる。

 nimaru導入後、生産者は商品の出荷情報をnimaruに登録。納品時に、端末でnimaruから発行された管理番号を押すだけで、送り状が出力される。横浜丸中青果が生産者から青果を買い取るのではなく、あくまで販売委託業務なので送り状。とはいえ、手数料を引いた売上が生産者への代金になるので、事実上の納品書兼請求書とも言える。

横浜丸中市場の出荷場に設置されている端末や個人のLINEから出荷情報を登録できる

 nimaruを使えば、生産者は送り状を手書きする必要がない。現在、湘南野菜の生産者として登録されている約250者のうち、nimaruを活用しているのは約110者。年配のユーザーも含めて、利用が拡大した大きな理由はnimaruがLINE上で使えることだ。「結局、孫とやりとりしたいという理由で、50~60歳の方はLINEを普通に使っています。だったら、nimaruもLINEのインターフェイスを使った方がいいですよね」と岡山氏は語る。

生産者はLINEから出荷連絡が簡単になる

「出荷連絡」から出荷する生産物を選択し、数量を入力するだけ

 nimaruは横浜丸中青果の基幹システムとも連携しているため、出荷情報がほぼリアルタイムで反映されるようになった。そうなると次には、担当営業がどこにいてもほぼ同じタイミングで出荷情報を確認できるようにしたい。そこでnimaruを補う形で3年前に導入されたコミュニケーションツールがLINE WORKSになる。

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