安価でエコな高齢者向け電気タウンカー
4番目は、モービルジャパン株式会社の代表取締役社長木村 裕氏が登壇。同社は、「トライク」「ミニカー」などと呼ばれる電動三輪車を開発するメーカーだ。
電動三輪車は、車検やヘルメットがいらず、普通免許があれば公道を運転できるのが特徴。バイクや自転車に比べて安定感があるので、高齢者にも扱いやすい。国内では、トヨタ車体の「コムス」がセブンイレブンの宅配サービスなどに使われているが、ほかのメーカーはほとんど製造されていない。また、1人乗りが一般的だが、同社では2人乗りや3人乗りのタイプも販売している。2人乗り以上は、軽二輪(250CC以下のバイク)の分類になり、法律上は最大5人乗りまで製造できるという。
中国で製造することでコストを抑え、1人乗り電動バイクの「佐吉」は27万7000円と安価だ。現在は、スイング機能付きの新型電動ミニカーを開発中で、2019年春に発売する予定。価格は50万円前後、年間1000台の販売を目指している。
段ボールのブロックを用いたプログラミング教材「JoinToy」
最後は、株式会社あx4(アバイフォー)代表取締役社長 砂金よしひろ氏が登壇し、ロボットプログラミング向け学習教材「Joitoy」を紹介した。
2020年からの小学校のプログラミング必修化に向け、国内外から多数の教材が発売されているが、いずれのコンテンツも1人でつくることを前提としておりグループ学習には向いていない。また、安価なものは応用性に乏しく、拡張性のあるものは高価だ。そこで、JoinToyでは、「母国語で動かせる」「身近な材料で拡張できる」、「考えを共有できる」の3つをコンセプトに、ブロック式プログラミングで動きを表現する最小限のパーツを販売。
具体的には、段ボールなどでプログラミング用のブロックをつくり、廃材や粘土などで作ったボディに専用パーツを組み込むことで、オリジナルのロボットがつくれるという。PCなどを用いるテキスト型のプログラミングではなく、段ボールのブロックを使ってプログラミングするので、コードを覚える必要がなく、複数人で話し合いながらプログラミングできるのが特徴だ。実物のブロックを用いることで、盲目の学習者もプログラミングが可能になる。
ビジネスモデルとしては、カリキュラムとセットで学校や学習教材業者へ販売、専用サイトで情報共有する予定だ。価格は、基本パーツが4000円、拡張パーツは、500円程度を想定しているとのこと。
メンターとの質疑応答では、スタッフの増員や他社との連携を勧める意見が多く見られた。スタートアップが早期に事業を拡大し、グローバル展開を目指すには、仲間を集め、他社との連携や協業を進める必要がある。また、競合に勝つための独自性、差別化も欠かせない。
知財×スタートアップの取り組みが進行中
ピッチの終了後の特別セッションとして、ASCII STARTUPのガチ鈴木から、スタートアップの知財戦略と特許庁の取り組みが紹介された。
資金や実績がないスタートアップにとって、アイデアや尖った人材、行動力が強み。つまり、企業価値≒知的財産といえる。しかし、日本のスタートアップは、欧米や中国に比べて知的財産への意識が低い。そこで、特許庁では、スタートアップの知財意識を高めるための支援策として、知財専門家と出会いの場の提供、知財コンテンツの配布などを実施。また、1ヵ月以内の早期審査、面接活用早期審査、条件を満たすベンチャーは特許料を3分の1に減免、といった支援を提供している。
ASCII STARTUPと特許庁は、知財専門家とスタートアップのコミュニティづくりに取り組んでおり、全国でセミナーやイベントを実施している。知財戦略に興味のある企業や弁理士など専門家の方は、ぜひ近くのイベントに足を運んでほしい。