Zen 2は2019年量産開始
Zen 3も順調で2020年の出荷を目指す
基本的な話として、Zen 2がTSMCの7nmプロセス(N7:ArF+液浸)を利用して製造されるという話はご存知の通りであるが、すでにこれのサンプリングが始まっている。そして今回は言及されなかったが、おそらくは7nmでEUV(極端紫外線)を利用するZen 3についても今のところ予定通りとされている。
TSMCの7nm EUVプロセス(N7+)は10月に最初のテストチップがテープアウト(設計完了)しており、現在リスクプロダクション(量産前生産)が始まったばかりという段階である。このリスクプロダクションの結果に問題がなければ、2019年中にはボリュームプロダクション(量産)に入ることも不可能ではないだろう。
もっともAMDの側はまだZen 3に関してテープアウトしておらず、こちらも2019年中に完了して、2020年の量産出荷開始を目指したいというあたりである。その意味ではこのロードマップに沿って順調に推移しているとして良いだろう。
さてそのN7、従来比でトランジスタ密度を2倍(=同じ回路ならラフに言ってダイサイズを半減)、同一性能なら消費電力を半減、同一消費電力なら動作周波数を25%アップ可能としている。
特にこの消費電力半減というのは、EPYCなどのデータセンター向け製品には大きな強みとなる。端的に言えば動作周波数を落とさずに、同じ消費電力枠でコア数を2倍にできる計算になり、性能/消費電力比を2倍に向上させられる、というのがAMDの説明だ。

この連載の記事
-
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ