ソニーと合弁で携帯電話事業を展開していたことのあるエリクソン。単独でもスマートフォンを展開していた時代がありました。今ではインフラ・ソリューション企業として携帯電話市場をけん引する同社の端末事業の歴史を振り返ります。
エリクソン、ノキア、モトローラで携帯電話市場を三分していた黄金時代
スウェーデンの携帯電話企業として誕生したエリクソンの歴史は、同じ北欧でフィンランドを拠点とするノキアを常にライバルとして意識したものでした。1990年代半ばにノキアが薄型高性能な「2110」をヒットさせると、エリクソンは10キー部分をフリップカバーで覆ったスタイリッシュな端末で応戦。ノキアがボディーを着せ替え可能な製品を出すと、エリクソンは10キー部分のパネルを交換できる端末で対抗しました。
エリクソンは1997年に手のひらサイズでフリップカバーのついた「GF768」を市場に投入し、端末の小型化で2社をリードします。アナログ方式の「AF768」やアメリカのGSM1900MHz対応の「CF768」、PCS呼ばれたGSM1800MHz対応の「PF768」と派生モデルも次々と登場し、768シリーズはエリクソンの顔となります。その後「788」を経て「T10」「T18」とこのスタイルの製品を一貫して市場へ送り出していきました。
2000年代まではエリクソンとノキアに加え、世界初の携帯電話を販売したモトローラの3社が市場シェアの過半数を握っていました。調査会社ガートナーの記録を見ると、1997年の携帯電話市場は1位モトローラ27.6%、2位ノキア19.1%、3位エリクソン14.8%。この3社で市場の約6割を握っていました。1998年にはノキアがトップに躍り出て22.9%、モトローラ19.8%、エリクソン14.6%と続いたのです。
一方、このころのPDA(Personal Digital Assistant)市場では、サイオン(PSION)とパーム(Palm)が互角の競争を繰り広げており、そこにマイクロソフトがWindows CEを引っ提げて市場に参入しました。
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