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スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典第127回

ウォークマンと肩を並べた音楽プレーヤーIriverはかつてスマホも作っていた

2019年03月25日 19時00分更新

文● 山根康宏

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 スマートフォンがまだ世の中に存在せず、携帯電話がようやくインターネットにつながった2000年前後、人々が外出中に使っていたモバイルデバイスがデジタル音楽プレーヤー。大手から中小まで数多くのメーカーが参入したこの音楽プレーヤー市場で独特の地位を築き上げていたのがIriverブランドの製品です。そのIriverがスマートフォンを出したことはあまり知られていません。PDAとは違う世界から市場に参入したIriverのスマートフォンの歴史を見てみましょう。

「音楽を持ち出す」時代を切り開いたIriver

 まだネットもない時代、1970年代のころは電車の中で人々がやることといえば雑誌や書籍を読むことでした。新幹線の車内では小型の将棋盤やオセロゲーム、あるいはトランプに興じる人たちも多い時代だったのです。

 ところが1979年にソニーが「ウォークマン」(Walkman)を発売し、他社からもポータブルカセットプレーヤーが登場すると人々はみな外出先で音楽を聴くようになります。また任天堂がゲーム&ウオッチを1980年に発売。外出中でも音楽を聴いたりゲームをプレイしたりと、人々の生活にデジタルグッズが普及していきます。やがてCDが登場し、日本ではMDも発売。1990年代は音楽を簡単に持ち運んで外で聴くことができる時代となりました。

 そして1990年代も終わるころにWindows 98が登場、USBをサポートしたことで外部機器との接続が容易になります。このおかげでCDから音楽をPCに取り込みデジタルデータへ変換、それをUSB経由で転送して持ち運べるデジタル音楽プレーヤーが次々と登場。当時はPMP(Personal Media Player)とも呼ばれ、Windows CEやPalm OSを搭載したPDA(Personal Digital Assistant)と並ぶ最先端のIT機器となっていきました。

 デジタルオーディオプレーヤーでもウォークマンは強いブランド力を持ちましたが、「Rio」「Creative」などの海外メーカーがUSB接続タイプの製品が出る以前から多くの製品をリリースしメジャーメーカーとなっていきます。さらにはメモリー産業の盛んな韓国からも多数のメーカーが生まれました。その一つが「Reigncom」です。Reigncomはサムスンからスピンアウトした社員が立ち上げた会社で、同社のデジタル音楽プレーヤー「Iriver」(アイリバー)は性能や本体デザインの良さから韓国や日本で人気となっていきました。

Iriver最初の音楽プレーヤー。ストレージはCDでMP3を保存した

 しかしアップルが2001年に市場に参入すると、音楽プレーヤー市場は一気に盛り上がりを見せiPodの存在感が年々高まっていきます。iPodはやがて音楽プレーヤーの代名詞をウォークマンから奪い去りました。一方韓国ではまだ地元メーカーが強かったものの、2004年にサムスンがデジタル音楽プレーヤー市場に参入するとIriverの勢いは一気に止まっていきます。グローバルではその後2007年にiPhoneが登場し、デジタルポータブル音楽プレーヤー市場そのものを衰退させていったのはよく知られた歴史の一ページでしょう。

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