メモリーの相性はどうなった?
第1世代のRyzen発売時に大きな話題となったメモリーの相性問題。第2世代での挙動が気になったので、手持ちのDDR4メモリーを使って検証してみました。テストしたのは全て片面実装のモジュールで、2枚挿しのみです。
| メモリー相性一覧 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| メーカー | 製品名 | メモリーIC | 容量 | 動作クロック | アクセスタイミング | 起動 | CINEBENCH R15 | 備考 |
| CORSAIR | CMD16GX4M4B3200(2枚で使用) | Samsung E-die | 4GB×2枚 | DDR4-3200 | 16-18-18-36-54-1T | × | × | |
| CORSAIR | CMD16GX4M4B3400(2枚で使用) | Samsung E-die | 4GB×2枚 | DDR4-3400 | 16-18-18-36-54-1T | × | × | |
| Crucial | BLS8G4D240FSC | Micron | 8GB×2枚 | DDR4-2400 | 16-16-16-39-55-1T | ○ | 1765cb | ネイティブ2400 |
| G.SKILL | F3-3000C15Q-16GRR(2枚で使用) | Hynix MFR | 4GB×2枚 | DDR4-3000 | 15-15-15-35-50-1T | × | × | |
| G.SKILL | F3-3300C16Q-16GRKD(2枚で使用) | Hynix MFR | 4GB×2枚 | DDR4-3300 | 16-16-16-36-52-1T | ○ | 1780cb | 3200で起動 |
| G.SKILL | F4-2400C15Q-32GTZR(2枚で使用) | Samsung B-die | 8GB×2枚 | DDR4-2400 | 15-15-15-35-50-1T | ○ | 1765cb | 非ネイティブ2400 |
| G.SKILL | F4-3200C14D-16GTZRX | Samsung B-die | 8GB×2枚 | DDR4-3200 | 14-14-14-34-48-1T | ○ | 1786cb | Ryzen対応モデル |
| G.SKILL | F4-3600C15D-16GTZ | Samsung B-die | 8GB×2枚 | DDR4-3600 | 15-15-15-35-50-1T | ○ | 1794cb | |
| G.SKILL | F4-4400C19D-16GTZKK | Samsung B-die | 8GB×2枚 | DDR4-4400 | 19-19-19-39-58-1T | × | × | 無謀だった |
定番のSamsung製のB-dieを搭載する片面8GBのモジュールは、ネタ枠のDDR4-4400MHzのモジュールを除いてXMP設定であっても安定動作しました。
一方で、Samusung製のE-dieや、Hynix製のMFR等の、DDR4初期から何年か採用されていたICを搭載するモジュールは、XMP動作でほとんどが不安定でした。唯一、G.SKILLのF3-3300C16Q-16GRKDだけがXMP設定で動作しましたが、ほとんどの物はXMP設定では動作が厳しいと思われます。こちらはHynix MFRの終息間際の製品で動作クロックが高く、アクセスタイミングとのバランスが良いことが影響している可能性があります。
第1世代のRyzenの最初期に見られたようなDDR4ー2133MHzでさえも起動出来ないといった症状はなく、DDR4-2133MHzであれば古いモジュールでも安定動作するので、流用も現実的と言えるでしょう。
ただし、両面実装や4枚挿しの環境ではまた違ったデータが得られるはずなので、今後詳しく検証してみたいです。
極冷オーバークロック時の挙動はいかに?
深夜販売のオーバークロックデモの準備をしていたので、エクストリームオマケ編として極冷オーバークロックの情報も少しお届けしたいと思います。
最終的に5.55GHzでCINEBENCH R15のマルチスレッドテストをパスし、2495cbというスコアを記録しました。この時の温度は-194℃でCPU電圧は1.8Vですが、その後はかなり粘っても2500超えは達成できませんでした。これはイベントで達成せよとのオーバークロックの神様の思し召しなのかもしれません。
第1世代のRyzenでは零下に落ちるとメモリーコントローラーの耐性ダウンという持病がありましたが、Ryzen 7 2700Xではその現象が発生しませんでした。常温環境だけでなく極冷環境でもメモリーコントローラーの挙動が改善されたようです。
無負荷時の最大動作クロックは5.75GHzを達成しました。この時の温度は-194℃でCPU電圧は1.9Vです。心の中の悪魔に支配された右腕がマウスを動かして一時は2.0Vまで昇圧されましたが、耐性には変化がありませんでした。悪魔はさらに2.5V設定を試みようとしましたが、イベント前に壊すわけにはいかないので深追いを止めました。(笑)
定格スペックの高さに驚き
今回検証してみて感じたのが、定格状態での完成度の高さです。僕が手動設定する限界クロックの約100MHz下までブーストするのには正直驚きました。とはいえ、マルチスレッド処理では手動での全コアオーバークロックが活きてくるので、チューニングの余地も十分にあります。
熱伝導率の高いハンダがCPU内部の熱伝導材として使われているので、変な温度の突き上げもなく扱いやすいので、常用オーバークロック設定は作りやすい印象です。ただし、4.2GHzを超えるような高クロック常用は、ハイエンドの大型ラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーを使う必要があるのでPCケースを選びそうです。
メモリーまわりの挙動で、オーバークロックメモリー使用時の安定性が向上している点と、古いモジュールとの相性が緩和されている点も評価したいポイントです。DDR4-2133MHzだと速度は劣りますが、普通に使うぶんには問題は全くないのでメモリー流用の敷居は下がったと思います。
今回は時間が無く試すことが出来なかった他のCPUの挙動も期待できるので、引き続き多くのモデルを検証してみたいと思います。

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