「ソニー・エリクソン」を目指したシーメンス ドイツの電機メーカーはなぜ台湾企業にスマホ事業を売却したのか
2018年04月15日 12時00分更新
一般消費者向けの家電から産業用機器まで幅広い製品を展開しているドイツの電機メーカー、シーメンス。今から10年以上前にはスマートフォンや携帯電話を販売していました。その後台湾のベンキューに携帯電話事業を売却し、現在はモバイル製品を手がけていません。シーメンスはどんなスマートフォンを販売していたのか、そしてなぜベンキューを選んだのか。シーメンスの歴史を振り返ります。
マクラーレンモデルも存在したシーメンスのSymbianスマホ
ヨーロッパの巨大電機メーカーであるシーメンス。幅広い事業内容は日本の日立にも通じるところがあります。携帯電話はヨーロッパでアナログ方式の第一世代のころから端末を販売しており、ノキアやエリクソンと並ぶ老舗の携帯電話メーカーでもありました。世界初のカラー液晶搭載携帯電話はシーメンスが開発したもの。1998年に発売した「S10」はわずか4色カラーながらも多くの人々の目をくぎ付けにしました。
このように古くから技術力を持っているシーメンスですが、エリクソンやノキアが2000年に入り相次いでSymbian OSのスマートフォンを投入したのに対し、2002年にPocket PCをOSに採用した「SX45」を投入します。いわゆるPDAに携帯電話機能を搭載した製品であり、通話するのにはヘッドセットが必要など使い勝手はいまひとつという製品でした。しかし本体にドッキングするカシオ製のカメラユニットが用意されるなど、意欲的な製品だったようです。
シーメンスのスマートフォンはマイクロソフトのOSを採用し、翌2003年には「SX56」、2004年には「SX66」と毎年1モデルをリリースします。しかし実はこれらはHTCの製造するODM品でした。
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