東芝の海外スマホ事業撤退は「Windows Mobile OS搭載」にこだわり続けたからか
2018年02月25日 12時00分更新
1990年代から日本の携帯電話市場を支えてきた東芝。海外市場でも多くの製品を出しましたが、日本の大手電機メーカーはスマートフォン市場で存在感を出せぬまま市場から撤退してしまいました。その東芝の歴史、今回は海外市場編です。
PCと同じブランドで5つのバリエーションモデルを展開
東芝の海外進出は2007年2月。スライド式のQWERTYキーボードを備えたWindows Mobile機を2機種投入しました。縦型スライドモデルが「Portege G500」、横型スライドが「Portege G900」で、このうちG900は日本では「SoftBank X01T」として投入されています。PCと同じ「Portege」ブランドを用いたのは、超小型のモバイルPCという位置づけで製品を展開しようとしたからでしょう。Windows系のモバイルOSの採用はPCとの連携もしやすかったはずです。
G500は2.3型240x320ドットのディスプレーを搭載、96x49.22.9mmとコンパクトでWindows Mobile 5.0を採用。G900は3型480x800ドットディスプレー搭載でWindows Mobile 6 Professionalを採用、サイズは119x61x21.5mm。2つの形状の製品を投入することで、幅広いビジネスユースに応えることを目的としました。
2008年に入るとブラックベリースタイルの縦型QWERTYキーボード機「Portege G710」、横型折り畳み式のクラムシェルスタイルなQWERTYキーボード搭載機「Portege G910」「同G920」とバリエーションを増やしていきます。東芝のスマートフォン開発の基本精神は「キーボード必須」であり、そのキーボードを活かす本体形状のバリエーションを全て揃えることで製品数を増やしていったのです。
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