最後に2つの素朴な疑問について考えてみたい。まず1つめはRyzen Gの内蔵GPUのパフォーマンスだ。これまでCore i5/i3と組み合わせて計測したが、GT 1030をRyzen Gと組み合わせれば内蔵GPUと直接性能が比較できるはずである。
そこで3DMark、FF14ベンチ、そしてForza 7の3つのテストにおいて、Ryzen G環境にGT 1030を追加して再検証してみたのが下のグラフだ。
今回実施したテストはGeForce寄りかVega寄りかでかなり傾向が割れたが、Ryzen G環境にGT 1030を組み合わせると、Ryzen Gであまり奮わなかったベンチで高スコアーが出るようになる。CPUパワーのせいで微妙に結果が悪くなるが、スコアー差の大半はGPUのパフォーマンスであるということが確認できたはずだ。
そしてメモリークロックの差でどの程度性能に影響が出るかについても疑問だ。メモリーは(当然ながら)高クロックになれば値段も高くなる。DDR4-2933あるいは3000が欲しいが、予算を絞りたいならDDR4-2400あたりで慎ましく自作した方が良いはずだ。
そこでここでは同じメモリーモジュールに対し、BIOS上でメモリークロックを上げ下げし、それが各ベンチでどのような影響を及ぼすか調べてみた。
どのベンチにおいても、メモリークロックを上げ下げすると、数%単位であるがスコアーが変化する。特にFF14ベンチでは、クロックの低いメモリーを使うだけでRyzen 5 2400Gが下位のRyzen 3 2200Gを下回ってしまった。
FF14ベンチは特にメモリークロックが効くので、結果がやや誇張されている可能性もあるが、Ryzen Gを使うのであればなるべく高クロックメモリーを手に入れた方がよいということが分かったはずだ。
低予算自作に革命来たる。あとはドライバーの熟成が急務
以上でRyzen Gのファーストレビューは終了となる。本当はもっと試したいこともあったが、BIOSが土壇場で更新されたため間に合わなかったのが残念だ。ただ評価用ドライバーは決して出来の良いものではなかったため、ドライバーやBIOSの熟成度が上がった段階で、機会があれば再チェックしておきたい。
ドライバーやBIOSが荒削りな状況とはいえ、Ryzen Gのパフォーマンスは実に良好だ。確かにCore i5/i3とローエンドビデオカードの組み合わせにRyzen Gが完敗するケースはいくつか見られたものの、ビデオカードなしでできるシステムがここまで高パフォーマンスが出るのは驚愕としか言いようがない。
Ryzen Gシリーズの登場によって、GT 1030やRX 550クラスの立つ瀬はなくなりそうだといってよい。もちろんAM4マザーのシェアを考えれば、ローエンドのビデオカードがなくなる訳はない。だがこれから低予算で軽いゲームが遊べるゲームを組もうと考えるなら、Ryzen Gシリーズを選ばない理由はない。低予算PC自作における革命的な製品といえるだろう。
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