それでは今回発売されたRyzen Gシリーズのスペックを従来のCPU/APUと比較してみよう。同価格帯にあるRyzen 1000シリーズのCPUとスペックを比べると、Ryzen Gシリーズは若干クロックが高めになっているほか、メモリーの上限がDDR4-2933まで引き上げられている点が重要だ。GPUを内蔵しているにも関わらず、TDPは65Wに収まっている部分も興味深い。
そしてRyzen Gが採用したGPUコアはVegaベースだが、CU(Compute Unit)は8基ないし11基と、CPUコアと同一パッケージ内に入れるためにVega 56の5分の1から7分の1にダウンサイズされている。さらにGPUや周辺回路を内包した結果からか、外部GPUへの接続バスはPCI-Express Gen3のx8が上限であるなど、これまでのRyzenとは微妙に仕様が違う点もある。
Ryzen Gシリーズと既存のAMD製CPU/APUを比較 | |||||
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製品名 | Ryzen 5 2400G | Ryzen 5 1400 | Ryzen 3 2200G | Ryzen 3 1300X | A12-9800E |
アーキテクチャー | Zen | Zen | Zen | Zen | Excavator |
コア/スレッド数 | 4/8 | 4/8 | 4/4 | 4/4 | 4/4 |
ベースクロック | 3.6GHz | 3.2GHz | 3.5GHz | 3.5GHz | 3.1GHz |
ブーストクロック | 3.9GHz | 3.4GHz | 3.7GHz | 3.7GHz | 3.8GHz |
L3キャッシュ | 4MB | 8MB | 4MB | 8MB | - |
搭載GPU | Vega 11 | - | Vega 8 | - | Radeon R7 |
CU数 | 11基 | - | 8基 | - | 8基 |
SP数 | 704基 | - | 512基 | - | 512基 |
GPUクロック(最大) | 1250MHz | - | 1100MHz | - | 900MHz |
対応メモリー | DDR4-2933 | DDR4-2666 | DDR4-2933 | DDR4-2666 | DDR4-2400 |
外部GPU接続 | PCI-E Gen3 x8 | PCI-E Gen3 x16 | PCI-E Gen3 x8 | PCI-E Gen3 x16 | PCI-E Gen3 x8 |
TDP | 65W | 65W | 65W | 65W | 35W |
内部構造的にはInfinity Fablicを起点に、4基の物理コアを持ったCCXと、Vegaベースのグラフィックスコアが接続される。CCXを2基備える上位Ryzenシリーズから、片方のCCXをVegaに置換したモデルであるため、物理コアは4コアが限度。CCX2基にVegaコアを入れるのは、発熱的に無理があるようだ。
さてRyzen Gの型番が従来の1000番台でなく2000番台に増えた理由は、Ryzen GシリーズのCPUコアはRyzen 1000シリーズより改良されているためだ。CCXの基本構造は同じだが、各コアの負荷に応じてクロックを調整する“Precision Boost”が“Precision Boost 2”に更新されている。
Precision BoostはCPUの使用状況をチェックする。3コア以上がアクティブなら“全コアブースト”2コア以下なら“2コアブースト”という2つのステートに切り替え、クロックを調整していた。Precision Boost 2も基本は同じだが、クロックの調整幅がより細かくなった。結果として中途半端にコアを使う時は、Ryzen 1000シリーズよりも(わずかだが)高クロックになるためパフォーマンスが稼げる、というものだ。
Ryzen Gシリーズも全て倍率ロックフリーであり、OC用のツール「Ryzen Master」もVer 1.2以降でRyzen GのOCにも対応する。Ryzen 1000シリーズやThreadripperと共用のツールになっているせいか、本来RyzenやRyzen Gシリーズでは不要なメモリーアクセスモードの設定項目が残されているが、やれることは同じのようだ。
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