本連載は、Adobe Acrobat DCを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第17回は、WordやExcel、画像、複数のファイルを電子封筒に入れて安全に送り届ける。

前回(「第16回 WordやExcel、画像などを1つのPDFファイルにまとめてみる」参照)は、ポートフォリオ機能を使って、複数ファイルをPDFファイルに格納する方法を紹介した。
ポートフォリオは、レイアウトやテーマで見た目にこだわれたり、PDFファイルの中でプレビューできたりと、いろいろと高機能。もっとシンプルに複数ファイルを安全に送信したい、というのであれば「電子封筒」機能を利用する手もある。複数のファイルをまとめてPDFに入れて、パスワード保護をかけられる。もちろん、普通のPDFファイルと同じようにメールに添付して送信できる。
電子封筒は「ツール」の「保護」を開き、セカンドツールバーの「詳細オプション」→「保護された電子封筒を作成」をクリックする。ウィザードが起動するので、最初の画面で「送信するファイルを追加」をクリック。ダイアログで追加するファイルを選択する。もちろん、複数のファイルを一度に登録できる。ファイルは後で追加したり、削除したりできる。
電子封筒にまとめて暗号化すると、圧縮されファイルサイズがコンパクトになるので送信にも便利。暗号機能付きZIPファイルでも似たことができる。しかし、圧縮ソフトによっては古い暗号化方式にしか対応しておらず、簡単に解析されてしまうことがある。その点、Acrobat DCであれば、暗号化方式を選択できる。「256-bit AES」という最強レベルの暗号化方式も選べるので、万一第三者がファイルを手にしても、パスワードを解析される可能性はほとんどないので安全なのだ。
次にテンプレートを選択する。「電子封筒」はその名の通り封筒のような表紙のPDFファイルとして作成される。その表紙に表示する要素を選択する必要があるのだ。初期設定では、「署名付き電子封筒」「日付スタンプ付き電子封筒」「メッセージ電子封筒」の3つ。差出人(自分)が書いてあるものと、スタンプも付いているものはエアメイル風、メッセージ付きのものは茶封筒風のデザインになっている。
続けて、電子封筒を今送信するか、後で送信するか選ぶ。メッセージであれば後で入力する必要がある。次は、セキュリティポリシーを選択する。「すべてのポリシーを表示」にチェックすると、「証明書による暗号化」とパスワードによる暗号化」の2種類から選べる。今回は「パスワードによる暗号化」を選択する。最後に、権限を選択し、パスワードを指定すれば完了だ。
ウィザードを閉じると、PDFファイルが開き、表紙が表示される。指定したファイルの一覧は左側に表示され、追加したり削除したりできる。このファイルを保存し、ファイルをメールなどで送信すればいい。
受信したファイルを開こうとするとパスワードを求められる。あらかじめ教えてもらったパスワードを入力すれば、電子封筒が開き、ファイルを保存できるようになる。
ちなみに、セキュリティポリシーで「証明書による暗号化」を選ぶと、エラーになり開けない。証明書に関しては、また別の回に詳しく紹介する。

この連載の記事
- 第154回 Acrobat有償ライセンスならAdobe Fontsで好みのフォントを使い放題!
- 第152回 ChromeブラウザでPDFを開いたときに便利な、Acrobatの機能が使える拡張機能
- 第151回 スキャンしたPDFをOCR処理・編集するとエラーになる場合のトラブルシューティング
- 第150回 オンラインPDF編集サービスを比較してみた! Acrobat webは文字の追加、修正、検索はできる?
- 第149回 Acrobatで新入社員の同意書を一括送信して手軽に署名してもらう方法
- 第148回 電子サイン付きWebフォームをAcrobatで作成する
- 第147回 自己流でやってない? 文書レビュー時に便利なコメントツールの使い分け
- 第146回 体験版の7日間で総務職の人に試してもらいたいAcrobat活用テク
- 第145回 体験版の7日間でマーケティング職に試してもらいたいAcrobat活用テク
- 第144回 体験版の7日間で営業マンに試してもらいたいAcrobat活用テク
- 第143回 ExcelやWordの印刷機能で作るPDFとAcrobat DCで作るPDFの違いをチェック!
- この連載の一覧へ