本連載は、Adobe Acrobat DCを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第8回は、PDFファイルの見せたくない部分を完璧に墨で消す方法を紹介する。

隠したい部分を黒塗りするだけじゃない「墨消し」機能
PDF資料の共有を求められたが、一部分の情報は見せたくないということもある。例えば、何らかの契約書や報告書などを渡さなければいけないが、第三者の個人情報だけは隠したいといった場合だ。そんな時、「墨消し」機能が利用できる。
隠したい部分を黒塗りにする機能で、政府の公開資料の映像などで目にした人もいるだろう。単に黒色のマーカーで塗るのではなく、情報を復元できないように完全に消去してくれる。また、PDFには検索可能なテキストを埋め込むことができるが、こちらも同時に削除することもできる。ただし、墨消しは、大切な情報を根こそぎ消してしまう可能性があるので、いきなり適用できないようになっている。まずは、墨消しとしてマークしてから適用するという2段階の操作が必要なのだ。
PDFを開いたら、「ツール」をクリック。下の方にある「墨消し」をクリックして、第2ツールバーを表示させる。「墨消しとしてマーク」をクリックしたら、消したい文字を選択しよう。その後、「適用」をクリックして墨消しを実行すると、指定箇所が黒塗りになり見えなくなる。続けて、非表示情報も検索して削除することも可能だ。
ここで言う非表示情報は11種類ある。著作権情報や作成者の名前などの「メタデータ」「添付ファイル」「しおり」「注釈」をはじめ、「フォームフィールド」「非表示テキスト」「非表示のレイヤー」「埋め込まれた検索用インデックス」「リンク、アクションおよびJavaScript」などがある。今回利用したPDFではメタデータに加えて、「削除またはトリミングされたコンテンツ」と「重なり合うオブジェクト」が検出された。
墨消しをカスタマイズしてみる
前述の手順で、隠したい情報はきっちり黒塗りされ、非表示データもないので検索もできない。しかし、もうちょっと優しく/厳しく見せたいといった場合は、カスタマイズも可能だ。
まずは黒ではなく水色にしてポップな感じにしてみる。第2ツールバーの「プロパティ」を開き、「墨消し領域の塗りつぶしの色」をクリック。パレットから色を選択して、墨消しすればいい。
墨消しの上に文字を載せることも可能。例えば、「大変もうしわけありませんが非公開情報です」とか、「この部分は開示できません」という文字を表示できるのだ。このフォントサイズや色、文字も自由に設定できる。

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