Adobe Acrobat DCを徹底的に使いこなすサイトをオープン!
業務改善に直結するPDFとAcrobat DCの魅力を今こそ見直したい
2017年03月02日 14時55分更新
3月2日にスタートした「Adobe Acrobat×ASCII」は文字通りAdobe Acrobat DCの活用術を解説していくサイトになる。PDFツールとしておなじみAcrobatだが、さまざまな機能があるにも関わらず使いこなせていないユーザーは多い。ここでは業務改善に直結するPDFとAcrobatの役割を考えていく。
あらゆるコンテンツを埋め込めるマルチコンテナ「PDF」
デジタルドキュメントの標準フォーマットとも言えるPDF(Portable Document Format)が生まれたのは、今から25年前の1992年にさかのぼる。開発者であるアドビの共同創業者ジョン・ノーワック博士が目指したのは、ソフトウェアやハードウェア、OSに依存せず、文書を確実に表示交換するためのフォーマット。さまざまな研究の結果、生まれたPDFはテキストだけではなく、画像や動画、リンクなどを埋め込めるマルチコンテナとして機能し、しかもデザインや書式もそのまま再現できる。
現在では、国際標準化機構(ISO)が定めた電子文書交換の国際規格ISO32000に準拠し、長期保存用やエンジニアリング用、印刷用などさまざまなフォーマットが規格に適合している。「紙からデジタルへ」という時代の流れの中で、まさに標準のファイル形式として、今も多くのユーザーに利用されている。
とはいえ、「紙の文書の見た目をそのままデジタルデバイスでも再現できる」というだけでは、実はPDFの魅力を半分も理解していない。PDFは紙の文書と同じく「編集できない」という点をメリットとして考えているユーザーは多いだろうが、実際は見た目を表現する画像ファイルと異なり、コンテンツ自体が埋め込まれている。これらのコンテンツはPDFツールを使うことで、編集や加工することができる。
PDFのパワーをフル活用できる「Acrobat」
こうしたPDFのパワーをフル活用できるのが、ご存じアドビのPDFツール「Acrobat」である。PDFの仕様がオープンになったことで、今ではさまざまなPDFツールが登場しているが、高い互換性と信頼性を確保しているのはある意味Acrobatだけ。無償のAcrobat Readerが世界中で使われていることもあり、高品質なPDFを作成するのであれば、やはりAcrobatは必須のツールと言える。
Acrobatは閲覧に加え、PDFの作成や編集などの機能を持つ。複数のコンテンツを構造化したPDFを作成できるため、作成した元ファイルや動画、レイヤーやメタ情報、暗号化、電子署名などの情報をすべて1つのファイルに格納することが可能だ。まさにマルチコンテンツのコンテナ。一方で、PDFファイルしかない場合でも、Acrobatを使えばPDF内のコンテンツを再利用したり、別のファイルとして出力することも可能だ。
一方で、ドキュメント単位でパスワードをかけたり、コピー&ペーストや改ざんを防止できるため、セキュリティ面は紙より安全だ。そのほか、PDFに対して電子署名を行なったり、付箋でコメントを付けられるため、紙と同じような使い方も可能。リテラシの高くないユーザーでも紙感覚で利用できるのが大きな特徴と言える。
今までPDFはおもに編集できないデジタルペーパー用途として使われていたが、Acrobatを使うことで、ビジネスのワークフローは一気にデジタル化され、省力化を図ることができる。たとえば、文書の回覧でAcrobatを使えば、紙のレイアウトを崩すことなく、オンラインでレビューが行なえる。その他、フォームでアンケートを収集したり、外出先で資料自体を編集することもできる。紙の使い勝手やワークフローを残したまま、デジタルのメリットを享受できるという点が、Acrobatのメリットとなる。
サブスクリプション版とクラウドの投入で進化するAcrobat
Acrobat XIの後継となる最新版のAdobe Acrobat DCは、スタンドアロンのデスクトップアプリケーションからクラウドサービスと連携するドキュメントソリューションへと大きく進化した。Acrobat DCの「DC」とはDocument Cloudの略で、クラウドとの連携により、モバイルデバイスでの利用や外部とのコラボレーションが圧倒的に容易になっている。そのため、従来のようにパッケージ版として購入するよりも、月額1580円ですべての機能を利用でき、最新機能やセキュリティアップデートをいち早く適用できるサブスクリプション版の「Acrobat Pro DC」を導入する方が圧倒的におすすめだ。
クラウドサービスと連携するAcrobat DCは、従来に比べても大きな機能強化を遂げている。Microsoft Officeとの高度なファイル変換やDocument Cloudと連携したファイル共有、モバイルデバイスとの緊密な連携などさまざまな新機能を搭載する。特にモバイル版アプリのAcrobatは、タッチパネルの利用を前提にインターフェイスが再設計され、カメラでのスキャン機能やペンでの利用を前提とした電子署名機能などが充実している。画像ファイルからテキストへのOCR化などの機能では、昨今注目の集まるAIの技術も投入されているという。
このような大きな進化を遂げている最新のAcrobatだが、正直「今までAcrobat Readerしか使ったことない」「AcrobatはPDF変換だけ使っている」という人がいれば、それはとてももったいないことだ。今のAcrobatは、みんなが知っているAcrobatではないのだから。
Acrobatは現場の業務改善を実現できるか?
PDFとAcrobatが提供できる価値は、まさしく業務改善だ。時短や働き方改革が声高に叫ばれる中、短い時間で生産性の高い業務を実現させるのは、経営者のみならず、現場の部門でも大きな課題。こうした中、ツールという観点で、PDFとAcrobatが寄与できる部分はまだまだ大きいのではないだろうか。
日本のホワイトカラーの現場では、中途半端なデジタル化のために、かえって業務が増えているという例も散見される。たとえば、キャビネットに保存されている文書をひたすら手入力したり、文書のレビューのために印刷とスキャンを繰り返したり、経費精算システムの伝票を押印してわざわざ紙で回したり、正直言って非効率な業務フローが数多く残っている。PDFとAcrobatが提供できるのは、まさにその10分、20分の無駄を切り詰める価値にほかならない。
今までこうした業務システムの改善は、おもに情報システム部や経営企画室のような部署が担当することが多かったが、なかなか現場をサポートする余裕もなく、施策自体も現場にフィットしないことも多い。「現場で喜ばれるだろう」と鳴り物入りで導入された業務システムやツールがまったく使われず、保守切れを待たずに陳腐化する例は枚挙にいとまがない。こうした中、月額利用可能で、インフラを持たずに使えるクラウドサービスは、現場部門が主導権をとった業務改善に最適なツールといえる。Acrobatは、まさに業務改善ツールの先端となりうるはずだ。
とはいえ、現在ではまだまだAcrobat DCとPDFを活用したベストプラクティスが欠けている。Acrobatにはさまざまな便利な機能があるが、果たしてこれらが業務改善に有効なのか、実績とノウハウがないということだ。これを集めるのが、今回オープンしたAdobe Acrobat×ASCIIの最終目的である。まずはAcrobatの便利な機能を連載の形でひたすら紹介しつつ、アドビ社内でのPDFとAcrobat活用を披露する。これを拡大し、最終的には業務改善に寄与するノウハウをフィードバックできるようになれば、このサイトの目的は達成できることになる。今後、Acrobatの真価を体感してもらえるコンテンツをどんどん提供していきたいので、ぜひ楽しみにしてもらいたい。