昔からICT業界には、国を超えてこだわりのある商品企画者やエンジニアがいるものだ。
その中でも今回、筆者が購入した米国製の「FREEWRITE」(フリーライト)と呼ばれる、ただ文書だけを入力するライティングツールはそのこだわりにおいて、今のところ右に並ぶものがないだろう。
国内で文書作成専用機と言えばキングジムの「ポメラ」が有名だが、FREEWRITEの文書入力専用機にかける意気込みはそれをはるかに超えている。
2016年に多くのバッカーを集め無事当初の出荷を終了したFREEWRITEを買いそびれた筆者は、つい先ごろ、知人から入手した次第だ。
日本にも1980年台の後半には、携帯型でただ文書だけを入力するための、エディターに近いシンプルなアプリを搭載した文字入力専用ハードウェアがあった。
筆者が国内外で愛用していたエプソン「ワードバンクノート」などがその代表的な機種だろう。
動作が機敏なこれら文書入力専用機も、パソコン通信からインターネットへの拡大展開に伴い、世の中のトレンドは単なるテキスト表示からグラフィック的な表現に急激に移行した。
そして機能性の高いパソコンが市場を席巻する世界となり、その後、よりコンパクトでモビリティーの高いスマートフォンに移行してきている。
しかし、そんな時代になっても、日本国内だけではなく世界中に文書入力が作業の多くを占めるユーザーは常に一定数は存在している。キングジムのポメラはそういうユーザー層にフォーカスを絞ったミニマル系の現代版ワードバンクノートだろう。
FREEWRITEは、世界の市場に一定数量は必ずいる文書入力派のためのクラシカルでこだわりのハードウェアとして、クラウドサービスなど最新の環境を従えてデビューした商品だ。
歴史上日本にはないに等しい、タイプライターを賢くした“クラウド版タイプライター”という表現が当たっている商品だ。
やや重いが高級感のあるライティング専用機
「FREEWRITE」
FREEWRITEを製造しているスタートアップ企業であるASTROHAUS(アストロハウス)は、本製品を発表する際になかなかユニークな商品紹介を行なっている。1つは「Distraction-Free Writing Tool」。もう1つは「ultimate drafting machine」だ。
意味するところは「書くことに集中できる道具」であり「究極の下書き機」。簡単に言ってしまえば、「気を散らすことなく文章の下書きをガンガン書ける道具」ということなのだろう。
早速、知人から送られてきた宅急便のパッケージを受け取った時の印象は「けっこう重い!」だった。
そして、昨今の超軽量級のICT系アイテムは不必要なほど凝ったゴージャスなパッケージに入って送られてくるものが多いが、FREEWRITEは極めてシンプルだ。
箱から取り出したFREEWRITEは予想に反せずやっぱり重い。2kgまで測れるいつものキッチン秤で測定してみると、スペックより少し成長していて実測1.88kgもあった。
アルミニウムボディーの表面はなかなかセクシーなカーブが特徴で、シックなブラックの塗装とマッチして高級感があり、なかなか素晴らしい。
本体の中央にはフロントライト付きの5.5インチのE-INK(電子ペーパー)スクリーンがある。ユーザーが設定するフォントサイズにもよるが、中程度の文字サイズで、日本語で1行に27文字、10行が表示されるサイズ。筆者の個人的感覚ではキングジムの「DM100」的なイメージだ。
ブラックカラー塗装の柔らかいカーブの表面に対して、底面は極めてシンプルでFREEWRITEという大きなロゴだけが目立つ平坦なプラスティック素材でホワイト一色だ。
1.8kgも重量があるからか、クラシカルなタイプライターのイメージからか、背面には持ち歩くためのハンドルが付いている。普段はリトラクタブルで本体に内蔵され、引き出すと極めて安定して持てる。
さまざまなインターフェースケーブルはパソコンの拡張性の証明だが、クラウド時代のスマートタイプライターは、その辺りも極めてシンプルだ。外部から取り込むコード類は本体充電のためのUSB Type-Cケーブルが1本だけ。
ごく一般的な市販のUSB/ACアダプターで充電は可能だ。満充電までの大凡の時間は3時間。まだたったの1回しか充電したことのない筆者には確証は持てないが、公開されているスペックによれば、Wi-Fiをオフにして毎日30分使って約3~4週間くらいがバッテリー持続時間らしい。

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