今年も世界一の楽器イベント「NAMM 2017」が始まり、そして終わりました。今年は1月19日から22日まで、例年通りアメリカはアナハイムで開催されました。今年も大盛況だったようです。みなさま、お疲れ様でした。
しかしながら、これも例年通りのことではありますが、我が編集部からは取材予算が出る気配すらありませんでした(編注:例年書いてますが、自腹で行かれるのなら、普段より少し多めに原稿料をお支払いできますよ)。よって例年通り、私は家で指をくわえながらインターネットから流れ出る情報にかじりついていたわけです。そしてこれも例年通り、自分が欲しいもの、欲しくなりそうなもののデータを集めながら、たまに出展者に問い合わせを入れつつ、いらんことを言うコタツ記事がここに始まります。
さて、思えば2年前のいまごろ。NAMMショーのネット中継で「ニュー」な「バキュームチューブ」を「アワ」が「ディベロップ」とかいう言葉が聞こえてきて、これは夢か幻か、あるいは俺の頭もついにやられたのかと観念したものですが、まさか、真空管がこんな平べったいLSIみたいなものになるとは。
で、今年のトップニュースはまずこれでしょう。
「VOX MV50」その1 ありがとうVOX!
ついに出ましたNutube搭載のギターアンプヘッド「VOX MV50」! いよっ、待ってました! しかもアンプのキャラ別に「AC」「ROCK」「CLEAN」と3種類登場! お前らamPlugかよ!
いやー、しかし、ちっちぇー。幅135mm、奥行き75mm、高さ100mm。まるでコンパクトエフェクターのサイズじゃないか。これでパワーアンプが50Wというのだからさらにスゴい。重さも540gってなんだそれ。と、いまスペック表の数値が信じられないあまり、紙を折り曲げ実物大モデルを作って確かめたくらい小さい。
ロック少年少女がその幼年期からお世話になる、あのBOSSのコンパクトエフェクターとほぼ一緒ですよ。あっちは奥行き129mmm、幅73mm、高さ59mmで、重さもだいたい400g台。日本酒一合分も差はないんですよ。一合なんてグビッとやったらおしまいです。一杯やって真空管のヘッドアンプなんだからさあ大変。ああ一体なにを言っているのかよくわかりませんね! ありがとうVOX!
国内での販売価格は2万7000円。安い! 発売時期は今年3月下旬予定。ありがとうVOX!
これでギタリストの夢だったマイアンプの持ち運びが実現するわけです。しかもギグバッグに入るじゃん。スタジオやライブハウス据え付けのスピーカーキャビネットに接続する前提なら、エフェクター感覚で持っていける。ありがとうVOX!
「VOX MV50」その2 キャビもちっちゃい
持って歩けるキャビも出ているんですね。MV50シリーズに合わせてスピーカーキャビネット「Black Cab」が2機種出ています。そのうち8インチユニット搭載の「BC108」は、重さ3.9kg。ギターと同じくらい。片手で持つのも余裕です。価格は1万3500円。MV50とのセット販売もあり、こちらは3万5100円。それぞれ単品で買うより5000円お得です。
8インチユニットと言うとボトムが弱そうですが、これは最低共振周波数を低くしたユニットと、エンクロージャーのセミ・オープン・バック構造で補っているようです。さらにMV50側にわざわざ「DEEP」というEQスイッチを設けて、低域をブーストできるようにしています。MV50とBC108の組み合わせには結構な気合が入っているものと想像しますが、果たして。
もうひとつ、Celestionの12インチスピーカーを載せた本格的キャビ「BC112」も発売されます。重量も本格的な13.6kg。電車は厳しいかもしれませんが、ゴリッとした王道サウンドをキメるならこっちでしょうか。価格は3万7260円で、4月下旬発売予定。
いずれもMV50との組み合わせで2台のカスケード接続に対応し、スリースタック化もOK。1台で25W@8Ω、2台つなげば50W@4Ωの出力を発揮します。