継続率50%超!スマホロック画面をメディア化するバズヴィル
インストールするだけでお小遣い稼ぎができる!?
Androidスマートフォンのロックスクリーンをメディア化し、広告配信による収益化を実現した企業が世界では登場している。韓国発のスタートアップが関わっており、現在同国のAndroidスマートフォンユーザーは3900万人と言われているが、その半数となる2000万人がロックスクリーンの広告アプリを使った経験があるという。
CCCのアクセラレータープログラム「T-VENTURE PROGRAM 2016」のファイナリストとしても登壇し、日本でも同サービスを展開しているのがバズヴィル(buzzvil)だ。現在のところ、日本では認知度の低いロックスクリーンのビジネスについて、バズヴィルの日本代表である吉澤新氏に話を伺った。
1日平均60回解除するロックスクリーンに広告を配信する
吉澤氏がバズヴィルに入ったのは2015年2月のこと。それまでは、モバイルのゲーム業界に6年ほどいた。『サンシャイン牧場』を手がけていたRekoo Japanやゲームロフトで、iモードが主流だったガラケー時代のゲームアプリから、mixiアプリ、AndroidやiPhoneアプリにこれまで携わってきた。
「働く業界を少し変えてみようかな、と思っていた時に、バズヴィルの話を耳にして、話を聞きに行った」(吉澤氏)
バズヴィルは韓国ではすでに2013年から実績があるのだが、日本ローカルでオペレーションをする人材がいなかったところに、吉澤氏がジョインすることになった。
韓国で展開されているバズヴィルのビジネスモデルは、ロックスクリーンに広告を表示し、広告費で収益を得るというもの。スマートフォンのロックスクリーンに商機を見いだしたのだ。同社によればスマホユーザーは毎日平均60回もロックスクリーンを解除しているという。普通は、暗証番号を入れてロックを解除するだけなのだが、吉澤氏はそこに広告的・メディア的な価値があること自体に気がつき驚いたと言う。
アプリの30日後の継続率は50%以上!
バズヴィルが手がけるBtoCサービス『HONEY SCREEN』は、スマホユーザーにアプリをインストールしてもらい、ロックスクリーンにコンテンツと広告を配信するもの。
広告配信と聞くとユーザーメリットが薄そうだが、実質的にはほとんどキュレーションアプリに近く、1日200記事ほどが表示される仕組みだ。ロック画面から直接コンテンツを読むことができ、コンテンツを無視して普通にアンロックもできる。
通常、アプリを立ち上げる場合は、暗証番号を入れてロックを解除してアプリを探してタップする一連の操作がある。その立ち上げ時にコンテンツが表示されるイメージだ。
「スマホの画面を立ち上げればコンテンツが表示される『HONEY SCREEN』は、性質的にちょっとテレビに近いというか、受動的。現在は、表示するコンテンツのAI対応も進めていて、シェアした数やいいねの数などを解析し、好まれそうな内容を優先したり、ユーザーの動向を元に最適化しようとしている」(吉澤氏)
ユーザーのメリットとしては、ポイントが付くこと。そのポイントは10ポイント=1円というレートでAmazonギフト券やSuicaのポイント、コンビニの商品などと交換できる。すべてのアクションに必ずポイントが発生するわけではないが、試したところ1アクションで2ポイントずつ加算されていった。50回で、100ポイント=10円分がもらえるという仕組みだ。単純計算だと、1年で2000~2500円分をゲットできそうだ。アプリ内のアンケートや無料会委員登録などにアクションすることで、すでに年10000円以上を得ているユーザーもいるという。
配信する記事の中には、ネイティブアドが挿入され、その広告主から費用をもらう仕組み。アドテクノロジーでの運用がビジネスの要で、キュレーションメディア同様にネイティブアドの右上には「SPONSORED」と記載されている。1日200記事中、5~6割がメディア配信の記事で、残りが広告とのこと。記事はパートナーと組んだり、ソーシャルメディアから取得しているという。
「サービスとしての特徴は、30日後のリテンション率が50%を超えている点。もともとゲーム業界にいたので、この高い数字には手応えを感じている。インストールしてもらうためのポイント獲得のフックは当然あるが、この高リテンション率の背景は、使っているうちに習慣化するためだと予測している。DAU(デイリーアクティブユーザー数)については、現在約6万人に上っている」(吉澤氏)
「広告を見ても、記事を読んでも、ロック解除をしても同じポイントがもらえるようになっている。インセンティブ付きの広告というよりは、実質ノーインセンティブ。だが、普段使いに組み込まれることで、気がついたら数百円とかが貯まっているというのが訴求ポイント。本気でポイントを獲得したいユーザーは、もっと貯まりやすいサービスに流れると考えている」(吉澤氏)