ウルトラマン放送開始50年記念、お宝グッズ満載豪華本『ウルトラマン トレジャーズ』刊行記念! 総合プロデューサー佐藤利明さんが本書にまつわるウルトラ濃い話を語ります。お宝の裏側に秘められたエピソードは「ドヒャー」の連続です!!
娯楽映画研究家・佐藤利明です。『ウルトラマン トレジャーズ』総合プロデュースをしています。今日紹介するのは、ぼくらにとっては神様のような存在である大伴昌司さん。大伴昌司さんがいたおかげでぼくらは「少年マガジン」で、怪獣図解グラビア、科学特捜隊のすべて、ビートル機の紹介などの記事が見られました。怪獣図鑑の数々を編集された名レイアウターであり、名編集者であり、さらにはSF作家でもあるという大伴昌司さんの仕事を中心に紹介してまいります。
怪獣の肩書まで入った「怪獣スペック表」
まずトレジャーズの中のお宝に入っているこれはなんと、“怪獣スペック表”なんです。ウルトラマン全39話終了後、おもちゃのマーチャンダイジング、それから雑誌の紹介、怪獣図鑑、それからさまざまなイベントで怪獣のぬいぐるみが商店街にあらわれるわけですが、そういうときに怪獣のスペックが必要になりますよね。そこで大伴さんが作成したのが、「怪獣スペック表」。ベムラーからゾフィーまで入っています。このスペック表を紙の裏側の感じまで含めて再現しています。
スペック表には怪獣の英語表記だったり、ネロンガだったら「透明怪獣」のような「肩書き」なんかが入っています。出現地点、弱点、ぼくらがのちに怪獣のスペックを知るよすがになった、大元の資料がこれです。大伴昌司さんが金城哲夫さん、上原正三さんの設定を最大限に生かしながら作ったもの。すべてはこの紙から始まった、ということで、これ、かなり貴重な資料になると思います。
怪獣設定表(金城哲夫・大伴昌司作成)──昭和42年4月に大伴昌司が作成した「ウルトラマン」登場怪獣の設定表。児童書、雑誌などの様々な出版物で怪獣が紹介されていたが、この時点での円谷特技プロダクションとしての公式設定として作成されたと思われる。監修は円谷英二、考証は金城哲夫、上原正三らの名前が記されている。
スペックまで入った「ビートル機のラフ」
そして「ウルトラマン」といえば、ぼくらのあこがれビートル機! 東宝映画『妖星ゴラス』に出てきまして、そのときは国連VTOL機として出てくる機だったんですけどね。それを郡司模型製作所の郡司(隆夫)さんがそのままウルトラマンにシフトして作ったのがジェットビートル、三角ビートル、宇宙ビートルですね。このビートル機、どういう仕組みになっているんだ? と思うわけですよ。
そこで、これ。TBSの原稿用紙にざくざくと描いていますが、大伴昌司さんが雑誌に載せるために描いたビートル機の図解です。編集者はイラストを発注する前にラフを切りますよね。ぼくらがラフを切るときは「丸書いて点々」みたいに描いちゃうんですけど、大伴さんは細かい! 鉛筆でグラデーションも入れていますし、スペックもすべて入っています。これがイラストレーターさんの手に渡り、きちっとした図解になる。その最初のラフスケッチを今回、収蔵しています。
ビートル機 完全図解 ラフスケッチ(大伴昌司)──大伴昌司が雑誌、図鑑のために解説したビートル機の完全図解のラフスケッチ。地球タイプと宇宙タイプの機能を説明している。映像では描かれなかった細かい設定は、少年誌や怪獣図鑑を通じてこども達に浸透し、さらなるイマジネーションを拡げていった。
子供のあこがれ「地底戦車ベルシダー」の図解
そして、これですよ。先日亡くなられた池谷仙克さんがデザインした、地底戦車ベルシダー。ウルトラマンに1回だけ出てきましたね。当時「サンダーバード」が流行っていましたから、ジェットモグラがかっこよかった。ああいうドリル型ってぼくらは萌えるんですよね、東宝の『海底軍艦』もそうですけど。写真が小さくて恐縮ですが、そのベルシダーの図解が入っています。
「小学6年生」に掲載されるということで、大伴昌司さんがラフを切ったもの。大伴さんのベルシダーは「ウルトラセブン」のマグマライザーに近いかなと。その辺のアレンジメントを含めて、ぼくらのイマジネーションが湧くわけです。
地底戦車ベルシダー 内部図解 ラフスケッチ(大伴昌司)──小学館の「小学六年生」に掲載された大伴昌司による科特隊の地底戦車ベルシダーの内部図解のラフスケッチ。これを元に画家が精密な絵を描いていった。「ウルトラマン」第29話「地底への挑戦」に登場しただけのメカだが、こうした図解によって浸透していった。
泣く子も黙る「怪獣解剖図解」
そして大伴昌司さんといったら、何と言っても「怪獣解剖図解」! これすごいでしょう。怪獣の中の胃袋とか、火を吐く構造が全部描いてある。これを見てぼくらは「怪獣って、中に人が入っているんじゃないんだ!」と思ったわけです。中でもペスターの内部図解というのがありますが、今回その原画を忠実に再現しました。後に秋田書店の「怪獣ウルトラ図鑑」に入っていくときに使われたものなので、編集者の字もあります。これも裏側まできちっと再現しています。
この解剖の感覚こそ『ウルトラマン トレジャーズ』の魅力なのでございます。
ぺスター内部図解 原画(秋田書店「カラー版 怪獣ウルトラ図鑑」大伴昌司)・昭和43(1968年)──少年誌の特集記事で目を引いたのは、大伴昌司による怪獣解剖図解。油獣ペスターの解剖図解は、少年マガジンが初出だが、こちらは秋田書店「怪獣ウルトラ図鑑」用の版下を復刻。怪獣の体内機能など、大伴ならではのイマジネーションが映像作品を観る楽しみを倍加させた。
ウルトラマン トレジャーズ
●発行発売:エフェットホールディング株式会社
●企画編集:Team Treasures
●仕様:B4変型 ※ハードカバー付
180P、写真約500枚、収蔵レプリカお宝資料50点
●価格:1万7000円(税別)
●全面協力:円谷プロダクション、M1号 他
●URL http://ascii-store.jp/p/2016090600001/?aid=expedition16
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(使用期限は2016年12月31日まで)
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