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ITツールはどう売るべきか 顔と名前を一致させる『カオナビ』の一点突破力

マネジメント効率をアップさせるクラウド人材管理サービス

連載
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将来の目玉は、カオナビ上での機能解放

 世の中にない新たなサービスの営業とは、というところを改めて考えさせられるインタビューだった。

 柳橋氏の説明を聞けばマネジメント特化でわかりやすいメリットがカオナビにはあるとわかるが、それでも、「明日からお前は社員の顔写真が一覧でわかるサービスを売ってこい」と言われたら戸惑ってしまう人が多いのではないか。

 実際、柳橋氏をはじめとするサービス設立時のメンバーが直接の営業を行わない成長フェーズ段階になって、新たに営業スタッフとして加入した社員は、最初はなかなか売るのに苦労したと聞いた。

 シンプルで力強いコンセプトであるがゆえに、その核となる部分をしっかりとつかみ提案するのは容易ではない。「顔写真が見られるようにしてほしい」という顧客側の発想がベースにあるサービスだが、おそらくその当時も顧客側はそれがサービスとして成立すると考えなかっただろうし、柳橋氏が「なぜ必要なのかわからない」ほどで、このときその理由を聞かなければ、カオナビはそもそも世の中に出ていなかったはずだ。

 また、人事との基幹システムとは別で、社内情報を接合するための機能の軸が顔写真というのはかなりユニークだが、可能性も感じる。LinkedInのような既存のビジネス向けSNSとも異なる分野なため、カオナビだからこそできるサービスもあるだろう。1000社を超えた先の垂直統合が気になるところだ。


 好調にユーザーを増やしている『カオナビ』は、日本ベンチャーキャピタルや大和企業投資などからこれまで3回の調達を実施。直近では、2016年6月に3億円を調達したばかりで、マーケティングと開発費用に充てる形だ。現在のスタッフは、正社員30名と業務委託20名の合計50人による中堅ベンチャーとなっている。

 「現時点では、機能をリッチにするより広く導入してもらってから高機能にしていく戦略を取っている。ビジネスシーンでスタンダードになったら、別のパートナーと組んで教育やスポーツの領域に広げる。機能を追加するという点では、SalesforceのようにAPIでつなげていくサードパーティモデルを導入したい。人事マスターがあるのだから、研修履歴を記録しているなら研修を売ればいいとか、人事がらみのサービスはカオナビでやったほうが合理的だと考えてもらいたい。将来は、カオナビ上でできるいろんなファンクションを解放する予定」(柳橋氏)

●株式会社カオナビ
2008年5月27日設立。2013年にカオナビに社名変更。クラウド人材管理ツール『カオナビ』の製造・販売・サポートを展開している。
2016年6月、大和企業投資、日本ベンチャーキャピタルから第三者割当増資による総額約3億円の資金調達を実施。
スタッフ数は2016年11月時点で50名。マーケティング活動をさらに強化して、2019年3月末までに1000社導入を目指す。

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