Lightning時代のリプレイスイヤフォン的性能
密閉型のカナル型としては低域がこもることもなく、開放型を思わせるような自然なレスポンスを得ている点は素晴らしいです。チューニングポートを使って積極的に排圧を逃がす構造なので音漏れはありますが、耳に負担の掛からない程度の音量であれば気にはなりません。
高域については、最近のワイドレンジなダイナミック型のつもりで聴くと、肩透かしを食らいます。その特性がイヤフォン側によるものか、DACアンプ側かはわかりませんが、ハイ落ちの感じは昔ながらのダイナミック型。ただ、これも見方を変えて言うなら、低域の抜けが良く、耳に刺激的な帯域は適度に抑えられた、普段使いに向いたイヤフォン、ということになるはずです。実際、長時間使っていて、聴き疲れがしない。
総じて、もしLightning時代になったとしたら、標準的なリプレイス用イヤフォンの性能は、この辺になるのかなというパフォーマンス。まだ数が出ない段階なので価格についてはこんなものかなと思いますが、次期iPhoneからイヤフォン端子消滅が確定したら、もう少し頑張ってほしいというのも正直なところです。
同じLightningイヤフォンのコンペチターとしては、リンクスインターナショナルの「IC-Earphone」という製品があり、こちらは税込6500円程度で売られています。見たところデザインはson1600とそっくりで、スペックも同じ。外装は若干チープですが、いまLightningイヤフォンを試してみたいなら、こちらを考えてみても良いかもしれません。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ