UWPを通じてWindows 10で利用できるアプリを増やす
UWPアプリは、C#/Visual BasicとXAML(Extensible Application Markup Language、ザムル)、JavaScript/TypeScriptとHTML、C++とDirectX/XAMLなど、開発者が使い慣れたプログラミング言語で開発でき、ある言語で作ったコンポーネントを別の言語で作ったアプリで使うこともできる。
Microsoft Visual Studio 2015には、各言語のUWPアプリ用テンプレートが用意されており、すべてのデバイス向けのアプリをひとつのプロジェクトから開発できるといった特徴を備えている。開発完了後は、Visual Studioからアプリパッケージを生成してWindowsストアに提出すると、Windows 10デバイスのユーザーはそのアプリを入手可能となるわけだ。また、拡張機能SDKを活用することで、アプリを特殊デバイスで機能向上させることも行なえる。
さらに、マイクロソフトでは、AndroidやiOSといった他のプラットフォームで開発されたアプリを、UWPに移行させるツールや、従来Windows向けに提供されていたデスクトップアプリをUWPに移行させるためのツールも用意している。
このように、UWPを通じてWindows 10で利用できるアプリを増やしていくことが、現在のマイクロソフトの基本戦略となっている。
日本マイクロソフトでは、「Windows 10への無償アップグレードサービスの提供により、Windows 10のユーザー数は着実に増加。約3億人が利用している。今後、Windows 10対応のUWPアプリは、Windowsストアを通じて多くのユーザーに提供できる」とする。
振り返ってみると、開発者にとってWindows環境への対応は、過去10年の間に最優先事項ではなくなっていた。特に、モバイルネイティブアプリの開発者にとっては、Windows環境は魅力的なものではなかった。それは普及台数の差から見ても明らかだ。全世界のモバイルOSのシェアはAndroidが6割近く、iOSが3割強。Windowsはわずか2%止まりである。2015年には、年間11億6000万台のAndroidスマートフォンが出荷されており、Windows 10全体で2018年までに10億台を目指す計画に比べてもその差は歴然だ。開発者は、より普及しているプラットフォームに向けてアプリを開発する方が、収益においてもメリットが高い。当然、AndroidやiOS向けのアプリ開発を優先する。
だが、UWPの環境整備によって、AndroidやiOS向けモバイルアプリをもWindowsに移行させることが容易になってきたのは事実だ。Windows 10の広がりとともに、開発者にとっての魅力が増していく可能性は十分あるだろう。この流れをどれだけの勢いに変えることができるのか。マイクロソフトの巻き返しはこれからである。
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