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マイクロソフト・トゥディ 第192回

事業開始から30周年、介護ニーズも取り込んだ「ワークスタイル変革」を掲げる日本マイクロソフト

2016年05月12日 10時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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25周年との違い

 振り返ってみると、日本マイクロソフトは、2011年の創立25周年を迎えた際には「日本に根差し、信頼される企業」を目指し、社名を日本マイクロソフト株式会社へと変更、同時に現在の品川本社オフィスに分散していた拠点を統合した。

 25周年という節目らしい大きな動きがあったといえる。

 また、25周年記念メッセージサイトを期間限定で公開したり、Facebookでは、Microsoft Japan 25周年公式ファンページを用意したりといったことも行なわれたほか、本社入口や品川駅構内では、25周年の垂れ幕を掲示。社員の名刺にも25周年ロゴを刷り込んだり、応接室や会議室で出される飲み物のカップにも、25周年の文字が入っていた。そして、25周年ロゴを刷り込んだメモ帳や、限定非売品の「25周年記念切手」も用意された。

本社入口や品川駅構内では、25周年の垂れ幕を掲示

社員の名刺にも25周年ロゴを刷り込んだり、応接室や会議室で出される飲み物のカップにも、25周年の文字が入っていた

 だが、30周年はそこまでの盛り上がりはないようだ。

 同社では、平野社長による30周年に関するメッセージを同社サイトに掲載(「日本マイクロソフト 30周年を迎えて」)。先にも触れたように、今年末までの期間限定で、イベントやマーケティング活動の中で30周年ロゴを使用するが、30周年ということにちなんだ特別にプロモーションは特に用意していないという。

「日本マイクロソフト 30周年を迎えて」メッセージページ

 むしろ、ゴールデンウイーク中の5月2日を、今年だけ30周年を記念した特別休暇日に設定したり、30のNPOと連携した社員向け30周年ボランティアプログラムの実施などに留まる。

介護などのニーズも取り込んだ、新たな「テレワーク勤務制度」を導入

 また同社では、5月1日付けで、これまでの「在宅勤務制度」を廃止して、新たな「テレワーク勤務制度」を導入。勤務可能場所を「自宅」ではなく、介護などのニーズに応え、実家などでの勤務が可能なように「日本国内で業務遂行に適切な場所」と変更している。

 同時に、フレックスタイム制度においてコアタイムを廃止しており、日本における事業開始30周年を迎えた同社が、社員のワークスタイル変革をより一層推進するための施策と位置づけてみせた。これも見方を変えれば、25周年が本社移転を起点にして働き方の変革に取り組んだが、30周年は就業規則の変更によって新たなワークスタイルの変革に取り組んだといってもよさそうだ。

 米マイクロソフトのCEOにサティア・ナデラ氏が就任して以降、同社は数々の変革に取り組んでいる。Windows 10を1年間無償で提供したり、これまで競合関係にあった企業と提携したりといったように、過去には考えられなかったことが相次いで行なわれている。つまり、過去の手法を踏襲するのではなく、これまでにはなかったことが行なわれている。

 こうした姿勢を打ち出しているマイクロソフトにとって、30周年という節目に、過去を振り返るようなプロモーションやマーケティング活動は、もはや似合わないのかもしれない。

 新たな就業規則の実行という、社会的なニーズを意識したワークスタイルの変革を30周年の取り組みのひとつに位置づけたあたりに、マイクロソフトの変化を感じざるを得ない。


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