このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

急変貌する“巨人”―「IBM InterConnect 2016」レポート 第4回

IBM InterConnect 2016で発表。語られたハイブリッド移行の「3つの要件」とは?

メインフレームとクラウドをAPIで「Connect」するIBMの戦略

2016年03月04日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2月下旬に米国で開催された「IBM InterConnect 2016」では、ヴイエムウェアとの戦略的提携、「IBM Bluemix」のサービス拡充、「API Connect」などのAPI関連サービス強化など、IBMのクラウドサービスを強化する数多くの発表がなされた。そのキーワードの1つが「ハイブリッド」だ。

「InterConnect 2016」の基調講演。IBM クラウドアプリケーションサービス担当GMのマリー・ヴィエック氏は、デジタル変革を遂げた企業は「6倍」のスピードで事業を展開していくため、迅速なIT基盤=ハイブリッド環境が必要だと語った

IBMの考える「ハイブリッド」は単なるハイブリッドクラウドではない

 ハイブリッドという言葉を聞くと、IT業界の読者ならばまず「ハイブリッドクラウド」を連想するだろう。実際、IBMでも今回、仮想化プラットフォーム市場で高いシェアを持つヴイエムウェアとの提携を発表し、エンタープライズ顧客のハイブリッドクラウド化をさらに促進していく戦略を打ち出している。

IBMとヴイエムウェアの提携により、オンプレミス/オフプレミス環境間のシームレスな管理が可能になるとともに、仮想化環境に対するこれまでの投資も保護されると強調

 ただしIBMの言う「ハイブリッド」とは、単に上述したようなハイブリッドクラウドだけを指すものではない。オンプレミス/クラウドにあるアプリケーションやデータの間を、より緊密かつ迅速に“つなぐ、統合する”ことも、急速にビジネス変革を図る企業には必要だと考えているからだ。

 InterConnect 2016において、同社クラウド戦略&ポートフォリオマネジメント担当VPのドン・ボーリア氏は、オープンかつセキュアなかたちでオンプレミス/クラウド/IoTの環境間をつなぐことを「ハイブリッドインテグレーション」と表現した。

シームレス、ラピッド(迅速)、スケーラブルなIT環境を実現するために「ハイブリッドインテグレーション」が必要となる

 ボーリア氏は、エンタープライズ企業がハイブリッドインテグレーションを実現していく道のりでは「3つのこと」が必要だとする。それは、アプリケーションをクラウド上で迅速に開発できる「Create」、オンプレミス/クラウド間でサービスやデータソースが連結できる「Connect」、そしていつでも最適なアプリケーション実行環境を選択できる「Optimize」の3つだ。

ハイブリッド化への道のりでは「Create/Connect/Optimize」という3つの要件を満たす必要があるとボーリア氏

 今回発表されたBluemixの各種サービス増強やSwiftへの対応は1つめ、ヴイエムウェアとの提携は3つめを強化する施策と言える。残るは2つめの「Connect」だ。

 新規にクラウドアプリケーションを開発するにせよ、既存のアプリケーションやSaaS間を連結するにせよ、これまで大きな投資により培ってきたオンプレミスのサービスやデータソースと接続し、それを活用する手段が必須となる。そこで今回、IBMでは新たにIBM Cloud向けの「Connect」シリーズを発表した。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    実は“無謀な挑戦”だったルーター開発 ヤマハネットワーク製品の30年と2025年新製品を振り返る

  2. 2位

    ITトピック

    「全国的に大変な状況になっています」 盛岡のSIerが見た自治体システム標準化のリアル

  3. 3位

    ゲーム

    信長を研究する東大教授、『信長の野望』を30年ぶりにプレイ 「若い頃だったら確実にハマってた」

  4. 4位

    ゲーム

    92歳 vs 95歳が『鉄拳8』でガチ対決!? “ご長寿eスポーツ大会”が海外でも話題に

  5. 5位

    sponsored

    SIer/ネットワーク技術者こそ知ってほしい! 「AV over IP」がもたらすビジネスチャンス

  6. 6位

    デジタル

    ヤマハ、2026年夏にWi-Fi 7対応アクセスポイント投入 スケルトンモデルも追加で「見せたくなる」デザインに

  7. 7位

    TECH

    NTTが日比谷を「光の街」に。次世代通信技術を都市にインストール

  8. 8位

    ITトピック

    セキュリティ人材の課題は人手不足ではなく「スキル不足」/生成AIのRAG導入が進まない背景/日本で強いインフレ悲観、ほか

  9. 9位

    ビジネス・開発

    10年先にいる「将棋界」から学ぶ 強豪将棋AI・水匠チームが語る“人を超えたAI”との向き合い方

  10. 10位

    TECH

    2026年度始動の「サプライチェーンセキュリティ評価制度」 企業セキュリティが“客観評価”される時代に

集計期間:
2025年12月21日~2025年12月27日
  • 角川アスキー総合研究所