全世界共通で「若年層はオンラインメディア、高齢者はテレビ志向」
ニュースアプリはYahoo!圧勝、世界では「ニュースのスマホ消費」が進む
2016年03月07日 09時00分更新
情報メディアは国による違いが大きい
海外における状況も見てみよう。Reuters Institute for the Study of Journalismが2015年6月に発表した「State of News Media」の結果が興味深い。アメリカ、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、アイルランド、デンマーク、フィンランド、ブラジル、日本、オーストラリアという12ヵ国2万人を対象に実施したレポートだ。
それによると、スマートフォンによるニュースの消費は年々伸びている。アメリカでは利用率が昨年の31%から44%に大幅に増加。スマホユーザー全体の7割がニュースアプリをダウンロードしている一方、週に一度でも利用するユーザーはそのうちの3分の1となっている。
なお、アメリカで一番利用されているのは「FOXニュースアプリ」(スマートフォン利用者のうち14%が利用)。ドイツでは「SPIEGEL ONLINE」(同15%)、オーストラリアでは「ABC」(同16%)。一方イギリスは、スマートフォン利用者の何と51%がBBCアプリを利用していた。BBCのサイトに集まるアクセスのうちスマートフォンとタブレットの合計は65%にもなる。
ニュース消費の情報源は、フランス、ドイツ、日本、イタリアなどで50%弱~60%弱が「テレビ」と回答しトップ。特にフランスとドイツはテレビがオンラインメディアをダブルスコアで上回っている。
一方、フィンランド、オーストラリア、デンマーク、アメリカ、アイルランド、ブラジルはテレビをオンラインメディアが上回っており、特にフィンランドはオンラインメディアがテレビを15ポイント以上上回る状態だ。
ニュース消費の情報源を年齢別に見ると、18~24歳においてはソーシャルメディアを除いたオンラインメディアが60%、ソーシャルメディアは20%強、テレビは25%強となっている。年齢が上がるに従ってオンラインメディアを情報源にする割合が減り、テレビの割合が増える傾向にある。たとえば55歳以上はオンラインメディアを利用する割合は20%強、一方テレビは55%弱いる。
情報メディアとの接し方は、国による違いがとても大きい。日本のようにまだまだテレビが強い国もあれば、フィンランドのようにオンラインメディアが圧倒的な国も現われている。一方、若年齢層がオンラインメディアを好み、年齢が上がるに従ってテレビを志向する割合が高くなるのは世界共通なのだ。
下がり続ける新聞の販売部数と行為者率
紙の新聞の販売部数や購読状況はどうなっているのだろうか。NHK放送文化研究所の「2015年国民生活時間調査報告書」(平成28年2月)によると、新聞(電子版も含む)の行為者率*は、平日と日曜は33%、土曜は35%となっている。平日の行為者率で比べると、前回調査(2010年)の41%から8ポイント下落。52%いた1995年から下がり続けている状況だ。
*行為者率:ある時間幅(15分・6時間・24時間)に該当の行動を少しでも(15分以上)した人が、全体の中で占める割合。
行為者率を男女年代別に見ると、男女60代以上では平日・日曜・土曜で半数を超えているが、男女20代以下では1割以下。2010年と比べると、平日は男性のすべての年代と女性20・40~60代で減少し、土曜や日曜もほとんどの年代で減少している。
新聞発行社レポート半期(2015年7月~12月) | |||
---|---|---|---|
紙名 | 合計販売部数 | 朝刊 | 夕刊 |
読売新聞 | 1196万2991部 | 913万6479部 | 282万6512部 |
朝日新聞 | 889万7490部 | 671万130部 | 218万7360部 |
毎日新聞 | 416万1872部 | 322万8105部 | 93万3767部 |
日本経済新聞 | 411万8575部 | 273万2307部 | 138万6268部 |
産経新聞 | 207万3284部 | 159万9487部 | 47万3797部 |
(日本ABC協会調べ)
日本ABC協会「新聞発行社レポート半期」(2015年7月~12月)によると、各新聞の販売部数は、読売新聞が1196万2991部(朝刊913万6479部+夕刊282万6512部)でトップ。続いて朝日新聞が889万7490部(朝刊671万130部+夕刊218万7360部)、毎日新聞が416万1872部(朝刊322万8105部+夕刊93万3767部)。
日本経済新聞が411万8575部(朝刊273万2307部+夕刊138万6268部)、産経新聞が207万3284部(朝刊159万9487+夕刊47万3797部)となっている。前回に比べてすべての新聞社で発行部数が減少しており、発行部数が1000万部を超えているのは、読売新聞だけになってしまった。
情報メディアとの接し方は大きく変化している。若い層を中心としてテレビ・新聞離れが進むが、コンテンツとしてのニュースは形を変えて消費され続けている。ニュースアプリの台頭はどこまで進むのかに注目が集まる。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、コンサルタント。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。小学校教員、編集者を経て現在に至る。最新刊『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎エデュケーション新書)の他、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』『図解 一目でわかるITプラットフォーム』(日本実業出版社)、『ネット業界 儲けのカラクリ』(中経出版)など著作多数。http://akiakatsuki.com/ Twitterアカウントは@akiakatsuki
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