特集「ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM」 第1回
まさかのコラボ「ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM」発動
「老後はVRゲーム廃人に」SAO川原礫先生 IBMと一緒に未来を語る
2016年02月22日 14時00分更新
舞台はVRでも、プレイヤーは人間だからドラマが起きる
川原先生がSAOを書き始めたのは2002年のこと。
川原先生自身は「ウルティマオンライン」(UO)、「ファンタシースターオンライン」(PSO)、「ワールド オブ ウォークラフト」(WoW)などオンラインゲームが大好き。いつかこの面白い世界を小説のテーマにしたいと考えていた。
「オンラインゲームの舞台は、あくまでゲーム内の世界なんだけど、プレイヤーはみんな人間で予期せぬドラマが起きてくる。小説のテーマとして魅力的なんじゃないかということで、仮想世界のゲームを舞台にした小説を書きたいと思ったんです」
結果、書きあがったものは、人の脳に直接リンクする機械(ナーヴギア)を使ったバーチャルリアリティー(VR)ゲームだった。
VRを舞台にした小説は昔から1つのジャンルとして成立してきた。川原先生が例に挙げたのは、ジェームズ・P・ホーガンの『仮想空間計画』。VRをビジネスにしている企業の話で、1990年代半ばに書かれたとは思えないほど現代的な内容だと話す。
一方、現実はいまや驚くほどフィクションに近づいている。
SAOの舞台である「アインクラッド」第1層は直径10kmという設定。執筆当時としてはかなり巨大に思える広さだったが、「最新のオープンワールドゲームではアバターのサイズに照らせば一辺10kmをはるかに超えるマップも登場しました」と川原先生は感懐深げに振り返る。
技術進化が早い時代、川原先生は自分自身の夢が実現する日も近いのではないかと期待を込めている。夢とは何かといえば“VRゲーム廃人”になることだ。
「デビューする前から『老後は絶対こういうゲームで遊びたい』と言ってきたんですよ。『老後はVRゲーム廃人になりたい』と。実際、小説に書かれているVR技術が実現したら、高齢者介護問題にも寄与する部分があるんじゃないかなと」
「ディープラーニングの極限を見てみたい」
最新VR技術への関心から「Oculus Rift」「PlayStation VR」も体験してきた川原先生。追従速度の速さ、視野角の広さなどに感心させられた反面、SAOの世界を実現させるには、どうしてもまだ足りないと感じた点があったという。
それは、デバイスを長時間身に付けていられないこと。
「頭が締め付けられていたり、パネルと近いせいなのか、目が疲れてしまうんです。15分くらいが限界。そこをブレイクスルーしてくれると、ネットゲームやりっぱなしという夢のような体験もできるんじゃないかと思うんですけど」
ディスプレー越しに映像を見ながら実際に身体を動かすという、拡張現実としてのVRにも関心があるという。足踏みすると画面が動き、ヒマラヤのような普通は辿り着けない場所を歩いている実感が得られる一方、こちらもやはり課題を感じたそうだ。
「疲れるんですね。5分くらいのデモでもハァハァ言っちゃうというのは予想外でした(笑)。SAOは寝転がったままですからね。現実的に、いまのロコモーティブインターフェースは疲れるんです。フィットネス用としてならバッチリなんですけど」
一方、人工知能やディープラーニングに代表されるような、思考するコンピューターにも関心があると川原先生。
「昔から人工知能に興味があり、SAOの重要なテーマにもなっています。ディープラーニングが極限まで行くと、どんなことになるんだろうと。たとえば、あらゆる人間の行動を過去にさかのぼってチェックしたりできるようになれば、犯罪の捜査とかはすごい変わると思うんですよね」
川原先生がSAOと同時に執筆を続けている『アクセル・ワールド』では、日本中に監視カメラが張り巡らされ、公共空間での行動が逐一記録されているという設定だ。
「ぼくはむしろ『そうなってほしい』派。もう防犯のためには必要悪。管理してるところがしっかりしていれば社会的にはプラスの面がありそうですよね。今後はデータをどう分析するのかもテーマにしていきたいと思っています」
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