世界最大の腕時計・宝飾品展示会「バーゼルワールド2016」。現地時間3月17日から24日まで、スイス・バーゼルで開催中だ。腕時計メーカー、バイヤー、関係者、お金持ちが世界中から集まってくる。
昨年のバーゼルワールドでは、2014年9月にアップルが発表した「Apple Watch」に時計業界が刺激されてか、メーカーがこぞってスマートウォッチを発表した。今年もすでにフォッシルが新しいスマートウォッチを追加するとかで話題になっている。どうせなら安くて丈夫で電池が持つやつを出してほしい。
スマートウォッチは華やかだが、スイスの腕時計産業はあまりいい状況にない。
統計によれば2015年の出荷額は経済危機以来5年ぶりとなる前年比3.3%のマイナス。中国をふくめたアジア市場がマイナスに傾いたのが響いた形だ。既存産業にとっては戦略を問われる厳しい年の始まりといえる。
マイナスのときこそ新しい発想が生きるもの。思わず欲しくてたまらなくなるような新製品を作り、ふたたび成長の礎を築いてくれたらよいなと思う。
ロレックスをはじめ、タグ・ホイヤー、セイコー、シチズン、カシオとメーカーの様子を見ていくが、今日はまず現地の様子をご紹介。いつか誰かがいきなりバーゼルに行くことになったときの参考にしてもらいたい。取材が決まって、あわてて百貨店でスーツを買った記者の視点なので、ラグジュアリー感はない。
バーゼルはスイスとドイツの国境付近にある小さな街だ。路面電車がゆったりと走り、ヨーロッパらしい建築物が建ち並ぶ。バーゼル市内のホテルがとりづらい(宿泊費がとっても高い)ことから日本のメディア・メーカーが滞在先に選んでいるドイツ・フライブルクからは、電車で30分〜1時間ほどの距離にある。
最高気温は10℃未満。風がとても冷たく、街から少し離れると田畑ばかりで、冬の北陸のような感じだ。わたしに着いたときは雪もちらついていた。会場の外はスーツの上にダウンジャケットや厚手のコートを着こんだ人たちがたくさんいる。
会場は駅から歩いて5分ほどの場所にある。巨大な白い現代建築を見つけたら、まず間違いなくそれ。目印として建築物の中央にとても大きな「穴」が空いている。どこからともなくラウンジ系の曲が聴こえてきたら、そこがメイン会場だ。
会場はホール1〜5、ジャンルごと5種類にわかれる。腕時計はホール1と2がほとんど。ラジュグアリーブランドが集まっているのがホール1、中堅ブランドや部品メーカーなどいろんなところが集まっているのがホール2とホール5だ。
とにかく巨大なホール1は3階建て。ラグジュアリーブランドだけを集めた、東京ビッグサイト並みに広いファッションモールという感じ。革靴で歩きまわるのはしんどい。午後にはもうスニーカーでいいじゃんと思えてくる。
各ブランドのブースではショーケースに時計が並び、プレスがカメラのレンズを向けている。ブース内にはショップバイヤーとの商談スペースが設けてある。
ホール2はホール1の右隣。中小テナントがこまごま入ったデパートのような感じ。いわゆる展示会のイメージで、こぢんまりしているかと思いきや広い。腕時計だけでなく掛け時計・置き時計などなんでもありで、見てまわるのが楽しい。
バーゼルはとにかくお金が動くイベントだ。世界中からお金持ちが集まるだけあり腕利きのスリ・泥棒も集まっているらしく、「スリに注意」という看板も出ていた。某メーカー広報によれば、スーツケースごと行かれるケースが多いらしい。
というところでバーゼル初心者からは以上。お金持ちのみなさんは、参考になったと思ったらぜひお金を送ってほしい。送金先はスイス銀行でおねがいします。
盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、記者自由型。好きなものは新しいもの、美しい人。腕時計「Knot」ヒットの火つけ役。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中。
人気の記事:
「谷川俊太郎さん オタクな素顔」「爆売れ高級トースターで“アップルの呪縛”解けた」「常識破りの成功 映画館に革命を」「“うんこが漏れない世界を”DFree」