日本ティーマックスソフトは9月1日、リレーショナルデータベース製品(RDBMS)の最新版「Tibero 6」を国内発売した。従来バージョン同様にOracle DBからの移行容易性を持ちつつ、新アーキテクチャ採用により高速性と安定性を高めた。今春からパートナー施策も強化しており、Tiberoの国内展開を本格化する。
ティーマックスは、1997年に韓国で設立されたミドルウェア中心のソフトウェアベンダー。Tiberoのほか、メインフレームのリホスト/オープン化ソリューションである「Tmax OpenFrame」や、アプリケーションサーバー「Tmax JEUS」などの製品がある。
Tiberoは、業界標準であるOracle DBとの互換性を持つRDBMSで、基本的にはOracle DB対応のアプリケーションを無改修でTiberoにマイグレーションできるのが特徴。マイグレーション作業はGUI管理ツールを通じて容易にできるという。
今回発売したバージョン6では、新たに「ハイパースレッドアーキテクチャ」を採用し、従来ボトルネックとなっていたプロセス、特に入出力制御プロセスを多重化した。マルチコアサーバーの持つ能力を効率的に使うことで、DBへのセッションが増加した場合でも高速かつ安定した性能が実現する。
また、SQLクエリをキャッシュする共有プールの断片化を抑える「階層共有プール方式」も新たに採用し、処理スピードの劣化を防ぐ。暗号化データ列に対する高速な範囲スキャン機能もサポートしている。
また、ストレージのクラスタ化を実現する「TAS(Tibero Active Storage)」機能も標準でサポートしており、可用性を高める。トランザクション/リソース状態のリアルタイム監視機能やDB管理者機能を備えるGUI管理ツール「Tibero Manager」も年内に提供開始予定。
1プロセッサーあたりのライセンス価格(税別)は、Standard Edition Liteが40万9700円から、Standard Editionが123万6400円から、Enterprise Editionが335万5900円から。また、年間サポート価格は上記ライセンス価格の15%となる。対応OSはUNIX(HP-UX、Oracle Solaris、IBM AIX)、Red Hat Enterprise Linux、Windows Serverなど。
なおティーマックスでは、今年4月にパートナー支援施策の強化を発表している。これはTibero事業の拡張を企図したもので、全国で研修やサポートを拡充しながらパートナー企業を増やし、販売チャネルを拡大していく方針。同社ではTibero 6関連事業において、今後2~3年で2500社への導入を目指すとしている。
国内パートナー施策も強化、Tiberoを日本市場に浸透させていく
日本ティーマックスソフト 代表取締役社長の佐藤成徳氏は、今回のTibero 6発売をきっかけとして、日本市場におけるTiberoビジネスの本格展開をスタートさせると語った。これまで、日本市場におけるティーマックスのビジネスはOpenFrameが中心で、Tiberoの認知度はまだ低い。「どれだけのスピード感で(Tiberoを)市場に浸透させていくかが現在の課題」(佐藤氏)。
韓国においてはすでに1000社を超える導入実績があり、Tiberoの高い技術力には自信を持っているという。Oracle DBからのマイグレーション先を検討する際、互換性を持たない他の商用DBでも信頼性機能の乏しいオープンソースのDBでもない有力な選択肢として、Tiberoが選ばれるケースが多いそうだ。
国内においてはパートナーへの支援、サポートをしっかりと固め、導入事例の公開も増やしていく方針。また今後、ビッグデータを扱うためのクラウドサービスの基盤需要も考えられることから、クラウドサービス事業者が利用しやすいライセンス形態でも提供すると述べた。
さらに佐藤氏は、ティーマックス全体の方向性として「マイグレーションハブ」というキーワードを挙げた。
近年、企業における経営へのデータ活用の気運は高まっているが、その反面、既存システムのサイロ化やベンダーロックイン、レガシーシステムの存在などが阻害要因となっている。顧客企業が望む「データの経営資源化」を実現するため、マイグレーションの“ハブ”となるTiberoやOpenFrameなどの製品を提供していく方針だ。
「“データの経営資源化”実現のためには、データ処理基盤のパフォーマンス、全社でのデータ共有プラットフォーム、他システムとの接続性などが求められる。これらの要件を満たし、システムに点在するデータの架け橋となる『マイグレーションハブ』を実現していく」(佐藤氏)