日本マイクロソフトが、2017年度に同社の売上高の50%を、クラウドビジネスで占める方針を打ち出した。さらに、2016年度には、国内のパブリッククラウド市場において、1位になることを宣言した。
これは、2015年7月1日付けで日本マイクロソフトの社長に就任した平野拓也氏自らが宣言したもの。平野社長が具体的な数字を伴った目標を明らかにしたのは、社長就任以来初めてのこととなる。
では、この数字の実現性はどの程度あるのだろうか。
まずは、国内パブリッククラウド市場における首位奪取宣言である。
日本マイクロソフトがターゲットとしているのは、同社がクラウド3兄弟と呼ぶ「Azure」「Office 365」「CRM Online」の領域において提供するパブリッククラウド市場でのナンバーワンだ。
つまり、SaaS、PaaS、IaaSのすべてが対象になるという点で、単に特定領域のナンバーワンを狙ったものではないことがわかる。
現在、国内のパブリッククラウド市場では、Amazon Web Service(AWS)やNTTコミュニケーションズ、日本IBM、富士通、Google、Salesforce.comなどがしのぎを削っている。同市場において、日本マイクロソフトは、同社会計年度である2014年度(2013年7月〜2014年6月)には5位、2015年度(2014年7月〜2015年6月)には3位に浮上したという。
「2016年度(2015年7月〜2016年6月)は、競合他社の成長率がこれまでと同じ範囲であると想定した上で、我々が計画している予算をしっかりとやれば、トップになれる」と、平野社長は語る。
機能面での差別化に加え、サポート面に対する評価の高さ
ここでは、製品力や品質の強みを訴求する。
「主力となるOffice 365は、Excel、Word、PowerPointとの親和性や安定性、さらには、Skype for Businessによるコラボレーション機能の基盤が充実している点、Power BIも機能として差異化できるものを提供している点などが挙げられる。製品の機能には、市場から高い評価を得ている」とする。また、「顧客に対するサポータビリティへの評価が他社との差別化になっている。顧客から顔が見える対応を行なっており、日本マイクロソフトであれば、安心して導入できるという声があがっている。セキュリティやプライバシー保護に対する評価も高く、他社のように、個人のデータがどんなことに使われているのか分からないといったこともない。その点でも評価が高い」とする。
そして、日本国内に東西2つのデータセンターを有していることも評価が高まっている理由のひとつだ。
このように、製品の機能面での差別化だけでなく、サポート面での評価の高さが、シェア拡大の要因になると平野社長は位置づける。
クラウドサービス活用のシナリオを10種類用意
さらに2016年度には、同社のクラウドサービスを活用するためのシナリオを10種類用意し、パッケージ化して提案を行なう姿勢もみせる。
「Azureの様々な機能を紹介するだけでなく、どの機能が、どこにどうあてはまるのか、どのコンポーネントをどう利用すれば価値が創出できるのか、セキュリティはどうなのかといったことを、日本のユーザー企業に最適化した形で提案することになる」とする。
この取り組みは、Azureにどんな機能があるのかが分かりにくいという課題に対する解決にもなるとしている。
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