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マイクロソフト・トゥディ 第178回

電力自由化、料金は関電とAzureで安くなる -関電システムSOL 山元康裕社長・日本MS 平野拓也社長対談

2016年01月28日 11時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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 日本マイクロソフトは、関西電力の子会社である関電システムソリューションズと、新たに販売パートナー契約を結んだ。関西電力の情報システム子会社である関電システムソリューションズは、関西電力向けのシステム構築を手がけており、Windowsプラットフォームを長年に渡り活用してきた。

 2015年5月には、関西電力のウェブサイトをマイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」に移行するなど、マイクロソフトとの結びつきも強い。今回の販売パートナーの締結は、こうした長年の協業体制をベースにしたものであり、日本マイクロソフトにとっても、カスタマーがパートナーとなる「パスタマ」という新たな関係構築を生むものになる。

 このほど、日本マイクロソフトの平野拓也社長と、関電システムソリューションズの山元康裕社長の対談が実現した。その様子を前後編に分けてお届けしよう。

関電システムソリューションズ 代表取締役社長 山元康裕氏

日本マイクロソフト 代表執行役 社長 平野拓也氏

関電システムソリューションズと日本マイクロソフト

 関電システムソリューションズは、1967年4月に設立した関西電力グループの1社である。2004年には関電情報システムと関西テレコムテクノロジーを合併し、さらに2007年にはデータセンターを運用するケイ・スクエアを統合、現在の体制を整えた。関西電力の情報システム子会社としての役割とともに、自社開発ソリューションの外販にも乗り出しており、コンサルティングからシステム開発・インフラ構築・運用・保守までをフルサポートで支援する体制を整えているのが特徴だ。

山元康裕社長(以下、山元) 関電システムソリューションズは、2017年4月に創立50周年を迎えます。半世紀近くに渡って、関西電力の電力安定供給を情報システムの観点からサポートしてきた企業で、具体的には、料金計算システムの開発・運用のほか、電力に関わる大規模施設の維持・運用などを行なってきました。

 さらに、現在、大阪市内に3ヵ所のデータセンターを展開し、地の利の高さとともに、関西電力の子会社であるケイ・オプティコムとの連携により、安定したネットワーク環境も提供でき、安心してご利用いただけるデータセンターとして、高い評価を得ています。

 最新となる第3データセンターは、関西電力グループならではの万全の受電設備、24時間365日の有人監視体制、そして、FISC(金融情報システムセンター)基準の認証を受けた最新の設備を導入したデータセンターであり、自信を持ってお勧めできるデータセンターといえます。

 しかし、その一方で、2016年4月からの電力小売全面自由化が開始されるなど、電力を取り巻く大規模改革が進む中で、我々の経営環境も大きく変化してきました。そこで、当社が持つ様々な資源を有効活用しここでビジネスを展開することを検討し、ここ数年それに向けた体制づくりに取り組んできたわけです。そのひとつが日本マイクロソフトとの提携となります。関電システムソリューションズでは、電力システムでの長年の経験をもとに、蓄積してきた数多くのノウハウをもとに開発したソリューションを提案できると考えています。

平野拓也社長(以下、平野) 日本マイクロソフトも、国内2ヵ所にデータセンターを設置し、ハイパースケールなインフラを提供できる体制を整えています。日本での展開において配慮しているのは、地域性です。ふたつのデータセンターを配置し、国内のデータセンターだけで冗長化した体制を整えているのも、日本のユーザーの要望にあわせた取り組みのひとつです。

 ただ、最適化したアプリケーションの導入や、それぞれのお客様が求める使い方にあわせて、サービスやソリューションを提供していくためには、パートナーとの連携が不可欠です。今回の関電システムソリューションズとの連携は、その最たる例のひとつで、お客様に安心して、またニーズにあわせたアプリケーション、スケーラブルな環境を提供できるようになります。

 お客様のニーズに最適なものを提供するためには、パートナーのデータセンターと、日本マイクロソフトのクラウドサービスとを組み合わせたハイブリッドソリューションを提供するとともに、セキュアで安心したコネクションをデータセンター間で実現することが必要です。今回の協業では、両社のいいところを組み合わせたハイブリッドクラウドサービスが提供できると考えています。

ハイブリッドクラウドの推進

 日本マイクロソフトと、関電システムソリューションズとの提携内容は、大きく4点ある。ひとつは、ハイブリッドクラウドの推進。2015年5月に、関西電力のウェブサイトをマイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」に移行し、運用コスト削減と災害時のバックアップとしての地理的冗長性も確保。運用コスト面では予想以上の効果をあげているという。そして、その成果をハイブリッドクラウドの提供へと進化させている。

山元 2015年7月から、日本マイクロソフトのMicrosoft Azureと、弊社のクラウドサービスを接続したハイブリッドクラウドの提供を開始しました。実はこれに先駆けて、2015年5月に関西電力のウェブサイトをこのハイブリッド環境を活用して運用を開始しました。

 電力会社のサイトは、急にアクセスが集中したり、高いセキュリティ環境が求められたりします。一昨年から、様々な可能性を検討する中で、このプロジェクトに最適なクウラドサービスがAzureであると判断したわけです。高い要求水準をクリアしながらも、コストダウンを図れるのは、やはりAzureならではのメリットだといえます。そして、この成果をもとにお客様にご提案ができると考え、2015年7月からハイブリットクラウドサービスの提供を開始したわけです。すでに、一般企業からの問い合わせを多数いただいています。今後、日本マイクロソフトと協業して、このサービスを推進していきます。

平野 IT産業の変化にはめまぐるしいものがありますが、特にクラウドは大きな潮流だといえます。日本マイクロソフトも、クラウドサービスに対してはここ数年多額の投資を行ない、大きな変革を進めているところです。日本マイクロソフトは、こうしたニーズに合わせてクラウドのテクノロジーを最大限利用できるように、お客様にあったクラウド戦略を推進する形へと舵を切っています。

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