消費電力をチェック
最後に消費電力をチェックする。「Watts Up? PRO」を利用して計測するが、システム起動10分後をアイドル時、「3DMark」の“Fire Strike”デモ実行中の同一シーンにおける値を高負荷時としている。
Fury Xはスペックが高いこともあり消費電力が図抜けていたが、今回R9 390Xを比較に加えたら“むしろ大したことない”という評価になるだろう。SP数はFury Xの方が格段に多いが、さすがに6.1GHz相当のGDDR5が8GBも搭載されているカードだけに、高負荷時の消費電力はダントツだ。
これに対しFuryの消費電力は大人しく、R9 290Xを下回る。SP数が微妙に減ったのに加えて、HBMメモリーの省電力性能が活きた結果といえるだろう。
ちなみにFuryの高負荷時の最高温度は81度と低いため、ゲームを連続稼働させてもカードが適度に熱くなる程度だが、R9 390Xは発熱量が段違いに多い。バラック組みした状態で40cm以上離れていても、カードから発せられる放射熱を感じるほどだ。R9 390Xを使うならケースファンの配置には気合いを入れる必要があるだろう。
Furyは停滞していたRadeonのリブートとしては良品
しかし最大の敵は……
以上ざっくりとFuryおよびR9 300シリーズのGPUをチェックしてみた。FuryはFury Xに比べ若干性能が低いものの、完全空冷スタイルゆえの扱いやすいカードに改善されたと言っていい。VRAM4GBというのは痛いが、1080p~WQHDで画質を欲張りすぎなければ、Furyの一番美味しい部分を使ってゲームが楽しめる。
一方R9 390Xは前述の通り大変発熱量も消費電力も多い大食漢なGPUだが、VRAM8GBという武器が魅力。3画面ディスプレーなどで解像度を限界まで上げたい人はもちろんだが、Modを山盛り入れたい人やGPGPUで巨大なデータを扱わせたい人にも役立つ製品といえる。
しかし今回一番苦言を呈したいのはFuryの国内価格だ。北米で550ドル足らずのFuryが(いくらOC版とはいえ)ほぼ10万円になるのだろうか? せめて8万円レンジであればGTX980を一方的に負かせる対抗馬になり得るが、今の価格ではGTX980Tiのリファレンスカードを買った方がずっと得だ。
Radeonのリブートを妨げているのは、GPUの性能(ワットパフォーマンス)ではなく、価格設定ではなかろうか。
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