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最新パーツ性能チェック 第178回

「Radeon R9 Fury X」はUltra 4Kゲーマーの選択肢を変えるか?

2015年07月01日 16時00分更新

文● 加藤 勝明 編集●北村/ASCII.jp

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VR環境でのパフォーマンスは
改善の余地あり

 もうひとつAMDはFury Xの強みとしてOcurus RiftのようなVR環境でのパフォーマンスを挙げていた。Ocurus Rift DK2の場合、1920×1080ドットのパネルを2分割して、両眼ともに75fps描画を狙う(製品版ではさらにこのハードルが上がる)。

 そこでOcurus Rift DK2環境を準備し「DeepEcho」を用いてフレームレートを計測してみた。画質は“Ultra"に設定し「Fraps」で同一シーンにおけるフレームレートを比較した。頭を動かすと再現性が悪くなるため、ヘッドセットは動かさずにテストしている。

Ocurus Rift DK2環境でのテスト結果

 HBMの帯域はフレームレートの高いVR環境でも優位に働くはずだが、結果としてはDK2の75fps維持を達成できたのはGTX980Tiのみ。Fury XはGTX980Tiに大きく水をあけられてしまった。

 VR方面の機能はまだGeForceの方に一日の長があること、ここからVR用アプリのRadeon向け最適化が遅れているのではないか……と推察するとこの結果も納得がいく。まだHBMメモリーの凄さをフルに発揮できる下地ができていないのだ。

GPGPUでHBMは効くのか?

 やや強引な“良いところ探し”になりつつあるが、今度は「Sandra」に含まれているGPGPU関係のベンチマークで対決させてみたい。使用したテストは「GPメモリー帯域」および「GP演算」の2つだ。

「Sandra」GPメモリー帯域

 まずはメモリー帯域だが、内部メモリー帯域に限ってはFury Xが突出している。しかしデータ転送帯域や総合の帯域にほとんど影響していないのは、Sandra側の作りの問題である可能性が高い。

「Sandra」GP演算。単位はギガピクセル/秒

「Sandra」GP演算(続き)。単位はメガピクセル/秒

そしてGP演算は軸の都合上グラフを2分割した。FPシェーダーおよび半分シェーダー(Half Floatの誤訳?)などの結果はGTX980Tiを大きく上回るほか、ダブル/クワッドシェーダーにおいてもGTX980Tiを圧倒している。

 ただしこの結果は第2世代Maxwellがゲームに不要な倍精度浮動小数点演算を捨てたチューニングを行なっているためであり、単純にHBMの力であるとはいえない。

 とはいえGPGPU分野においては、Fury Xは相当速いカードになったといえるだろう。仮想通貨マイニングなどではかなり重宝しそうだ(消費電力がすごいことになりそうだが)。

→次のページヘ続く (水冷クーラーはかなり冷える

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