VR環境でのパフォーマンスは
改善の余地あり
もうひとつAMDはFury Xの強みとしてOcurus RiftのようなVR環境でのパフォーマンスを挙げていた。Ocurus Rift DK2の場合、1920×1080ドットのパネルを2分割して、両眼ともに75fps描画を狙う(製品版ではさらにこのハードルが上がる)。
そこでOcurus Rift DK2環境を準備し「DeepEcho」を用いてフレームレートを計測してみた。画質は“Ultra"に設定し「Fraps」で同一シーンにおけるフレームレートを比較した。頭を動かすと再現性が悪くなるため、ヘッドセットは動かさずにテストしている。
HBMの帯域はフレームレートの高いVR環境でも優位に働くはずだが、結果としてはDK2の75fps維持を達成できたのはGTX980Tiのみ。Fury XはGTX980Tiに大きく水をあけられてしまった。
VR方面の機能はまだGeForceの方に一日の長があること、ここからVR用アプリのRadeon向け最適化が遅れているのではないか……と推察するとこの結果も納得がいく。まだHBMメモリーの凄さをフルに発揮できる下地ができていないのだ。
GPGPUでHBMは効くのか?
やや強引な“良いところ探し”になりつつあるが、今度は「Sandra」に含まれているGPGPU関係のベンチマークで対決させてみたい。使用したテストは「GPメモリー帯域」および「GP演算」の2つだ。
まずはメモリー帯域だが、内部メモリー帯域に限ってはFury Xが突出している。しかしデータ転送帯域や総合の帯域にほとんど影響していないのは、Sandra側の作りの問題である可能性が高い。
そしてGP演算は軸の都合上グラフを2分割した。FPシェーダーおよび半分シェーダー(Half Floatの誤訳?)などの結果はGTX980Tiを大きく上回るほか、ダブル/クワッドシェーダーにおいてもGTX980Tiを圧倒している。
ただしこの結果は第2世代Maxwellがゲームに不要な倍精度浮動小数点演算を捨てたチューニングを行なっているためであり、単純にHBMの力であるとはいえない。
とはいえGPGPU分野においては、Fury Xは相当速いカードになったといえるだろう。仮想通貨マイニングなどではかなり重宝しそうだ(消費電力がすごいことになりそうだが)。
→次のページヘ続く (水冷クーラーはかなり冷える)

この連載の記事
-
第473回
デジタル
Ryzen 7 9800X3Dと9700Xはどっちが良いの?! WQHDゲーミングに最適なRadeon RX 9060 XT搭載PCの最強CPUはこれだ! -
第472回
sponsored
触ってわかった! Radeon RX 9070 XT最新ドライバーでFPSゲームが爆速&高画質に進化、ストレスフリーな快適体験へ -
第471回
デジタル
8TBの大容量に爆速性能! Samsung「9100 PRO 8TB」で圧倒的なデータ処理能力を体感 -
第470回
デジタル
HEDTの王者Ryzen Threadripper 9980X/9970X、ついにゲーミング性能も大幅進化 -
第469回
デジタル
ワットパフォーマンスの大幅改善でHEDTの王者が完全体に、Zen 5世代CPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズをレビュー -
第467回
デジタル
Radeon RX 9060 XT 16GB、コスパの一点突破でRTX 5060 Tiに勝つ -
第466回
デジタル
Radeon RX 9060 XTは6.5万円でVRAM 16GBのお値打ちGPUになれたか? -
第465回
デジタル
遅れてやってきたPCIe5.0 SSDの大本命、リード14GB/秒超えのSamsung「9100 PRO」を実機レビュー -
第464回
デジタル
Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった -
第463回
デジタル
Ryzen 9 9950X3Dは順当進化。3D V-Cache搭載Ryzenの最強モデルだがクセありな部分はそのまま -
第462回
デジタル
RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー - この連載の一覧へ











