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マイクロソフト・トゥディ 第141回

「Skype for Business」「Office 365」が変えるテレワーク

2015年04月28日 11時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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 日本マイクロソフトが、企業向けコミュニケーションプラットフォーム「Skype for Business」の提供を、4月中旬から開始した。

企業向けコミュニケーションプラットフォーム「Skype for Business」

 これまで「Microsoft Lync」と呼んでいた企業向けコミュニケーションサービスをベースに機能を強化。「インスタントメッセージ、ビデオ会議、電話などを提供することで、新たな働き方の中核を担う製品になる」と、日本マイクロソフトの織田浩義執行役員常務は語る。

日本マイクロソフトの織田浩義執行役員常務

 今回の機能強化では、コンシューマ向けに提供してきたSkypeとの連携や、これまで1会議あたり250人までを制限としていた接続先を拡大するほか、数多くの開発APIを提供。「Webブラウザーの窓の中にSkypeを埋め込んだり、モバイルデバイスでも利用できる環境が整うなど、さまざまな用途の広がりが期待できる。パートナーにとっても、ビジネスチャンスが広がることになる」とする。

1会議あたり250人までを制限としていた接続先を拡大するほか、数多くの開発APIを提供

 今後、マイクロソフトが公開しているSurface Hubのほか、サードパーティーから各種の会議デバイスの登場によって、Skype for Businessの利用が促進されると見込んでいるほか、欧米では、クラウドサービスと公衆回線の連携により、Office 365から直接電話ができるといったサービスも開始されることになる。公衆回線との連携は日本では未定だが、当然、将来的には視野に入ることになるだろう。

欧米では、クラウドサービスと公衆回線の連携により、Office 365から直接電話ができるといったサービスも開始される予定

 織田執行役員常務は、「2015年は、最もテレワークに対する関心が高まる1年になる。安全な外部コミュニケーション、コスト削減、社員の生産性向上、スピーディーな業務、ワークスタイル変革といった点で、新たなSkype for Businessへの期待の声があがっている。

テレワークが実現する価値シナリオ

 またSkype for Businessは、教育分野に対しては無償で提供しおり、すでに220万のユーザーが教育分野で利用。さらに、文部科学省では、4月1日から全国の高校での遠隔授業を開始することで、さらにSkype for Businessの利用が促進されると考えている」などと、新サービスの利用促進に期待を寄せる。

 今年7月からスタートする同社2016年度においては、2014年度比で2倍の売上高を目標にするという。

 実は、日本マイクロソフトでは、テレワーク推進担当役員を配置。織田執行役員常務がその役職に就いている。

 「日本マイクソロフトでは、Lyncを利用して4年半前からワークスタイルの変革に挑んできた。それまでは、社員が時間とコストをかけて会社に通勤して、仕事をしていた。しかし現在では、いつでも、どこでも、最適に活躍できる環境が整った。かつては、会議室をセットするのにのべ5.5日もの時間をかけていたが、それが4時間程度でできるようになった」などとし、Lyncの活用により、社内環境が大きく変化していることを示してみせた。

社員が時間とコストをかけて会社に通勤して、仕事をしていた。しかし現在では、いつでも、どこでも、最適に活躍できる環境が整った

テレワークにおけるマイクロソフトの強み

日本マイクロソフトのテレワークの取り組み

 「新たなSkype for Businessは、世界中の人々に利用され、さらに使いやすくなったSkypeベースのUIを採用するとともに、セキュリティやコンプライアンスなど、企業に求められるLyncの管理性をあわせて進化させた。いつでも、どこでも簡単につながり、生産性を向上させることになる」とする。

SkypeベースのUIを採用するとともに、セキュリティやコンプライアンスなど、企業に求められるLyncの管理性をあわせて進化

 しかし、国内にもようやく浸透してきたLyncの名称が、ここでなくなってしまうことは、マーケティングの観点からみても、ちょっと残念だ。

 すでに2014年11月の時点で、米本社により、ブランド変更は公表されていたが、その後も日本マイクロソフトでは、Lyncというブランドを前面に打ち出しており、今回の発表が突然のブランド変更だと感じた人も多いようだ。

 日本マイクロソフト Officeビジネス本部エグゼクティブプロダクトマネージャーの小国幸司氏は、「Skype for Businessに名称を変更したことで、マイクロソフトがまた新たなサービスに挑戦するのか、新たなアーキテクチャーを提供するのか、ゼロベースで開発したものかと感じる人がいるかもしれない。実際に、そうした問い合わせもある」と明かしながら、「コンシューマ向けのコミュニケーションエンジンであるSkypeと、エンタープライズ向けのLyncのふたつのコミュニケーションブランドを統合。すでに実績のあるものをベースにスタートするサービスになる」と位置づける。

 Skype for Businessは、Lyncが持つすべての機能を継承するとともに、3億人というSkypeの利用実績をもとに得たフィードバックを反映。その一方で、アイコンや画面イメージ、ボタンなどのレイアウトは、コンシューマ向けSkypeに近いものに変更した。

 「画面をダブルクリックするだけで全画面表示したり、マウスオーバーするだけでボタンが表示するなど、コンシューマ向けのSkypeで好評な機能を取り込んだ」という。

 そうした点でも、今回の製品で「Skype」へとブランド変更したことは、名実ともに合致した動きといえる。

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