注目スタートアップのビジネスモデルを分かりやすく紹介。レスクは宅配ピザ屋のような配達業者を相手に、電動バイクと小型充電ステーションの販売・リースを手がけている企業。充電ステーションのインフラを広めることで、最終的に一般利用者も使えるバッテリー充電網を整備するのが目標。
ありふれた電動スクーターに革命の予感だ 写真:レスク
ピザ屋やコンビニのちょっとしたスペースに、電動バイクの充電ステーションを置けないか。
レスクは宅配ピザ屋、あるいは宅食サービスを始めたコンビニのようなバイク配達業者を相手に、電動バイクと小型充電ステーションをセットにして販売・リース展開している企業。
同社鈴木大介社長が掲げる「eプラットホーム」プロジェクトは、電動バイクで使われる約10kgの小型バッテリーを充電する、同社が「ロッカー」と呼ぶ小型充電ステーション網を整備する計画だ。
「将来的にはロッカーを増やすことで一般利用者にも広めていきたい。スペアバッテリーがいろんなところに置かれていれば、非常用電源としても使えるようになる」(鈴木代表)
携帯電話ショップの充電器を電動バイクに
eプラットホームはバイク運転者同士がバッテリーを共有するのが特徴だ。
電動バイクの運転者が使うのは引き出し式の充電ステーション。空になったバッテリーを入れると、別の引き出しが開く。引き出しから満充電のバッテリーを取り出せば、充電を待つ必要がない。
携帯電話ショップにある充電スタンドを応用したような発想だ。
電動バイクはスマートフォンとペアリングし、アプリ経由でバッテリーの残量を知らせる機能を備える予定。バッテリー残量をシステム側で把握し、遠隔地からステーションの充電速度を調整する計画もある。
現在は電動バイクも自社で販売しているが「メーカーになろうとしているわけではない」と鈴木代表。「最終的には(バッテリー利用量に応じて課金して)電動バイクを0円で使えるようなモデルも導入したい」
点から線、線から面で広げていきたい
EV向けのバッテリーインフラ事業としては2007年、米カリフォルニアのスタートアップ・ベタープレイスが参入したが、結果は失敗に終わっている。ベタープレイスは2013年に解散した。
鈴木代表はベタープレイスの失敗要因は「一般利用者向け」「電気自動車向け」の2点だったと考えている。
電気自動車向けのバッテリーは数百kgあり、手助けがなければバッテリーの交換は難しい。また充電ステーションは1カ所あたり1億円以上の費用が必要で、敷設コストを負担できる業者は少なかった。
一方、レスクの事業はバイク配達業者向け。充電ステーションも小さく、敷設費用もベタープレイスよりおさえられる。コンセントも通常の100ボルト電源が使用できて、大がかりな工事は必要ない。
国内の配達用小型電動車の出荷台数は年間およそ2万台。規模が小さく大手にとっては旨みが少ないが、ベンチャーには十分だと考える。まずは配達ルートが決まっているピザ店やコンビニなどから始めることで「点から線、線から面という形でステップアップしたい」

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