注目スタートアップのビジネスモデルを分かりやすく紹介。ウタゴエは非公開のミニブログ「瞬間日記」を世界212カ国で展開。ソーシャルでは明かせないプライベートを書きたい女性を中心に利用者を伸ばし、KDDIなどパートナー企業からのロイヤルティー、課金サービスで収益化をはかる。
世界中の女性がソーシャルでは書けないプライベートをつづる
恋人にフラれた。つまらないことでケンカした。子供につらく当たってしまった──
ソーシャルでは明かせないが、どこかに書きとめておきたい。ウタゴエのスマートフォン日記サービス「瞬間日記」が好調だ。2010年1月の開始から4年間でダウンロード数は合計3000万を超える。海外進出にも積極的で、現在世界212カ国で展開する。
「最初の利用者はシングルマザー。こういう(ソーシャルでもブログでもない)場所を作りたいと、日記のビジネスを開発した」と、ウタゴエ代表取締役 園田智也社長は語る。
利用者の8割は女性で、半数が10〜20台。AKB48の柏木由紀さんがラジオ番組で「自分だけのツイッターみたいな感じ。1日に3〜4回使ってる」と紹介し、人気に火がついた。「ロシア人の女の子に聞いたら『失恋したときに書く』と話していた。世界中、女性の気持ちは一緒」(園田社長)。
ビジネスモデルは、パートナーからのロイヤリティー収入、課金サービスの2面。
ロイヤルティーは、ディズニー・モバイルの「ディズニー瞬間日記」、ベネッセの「英語日記」など、パートナー企業と共同運用しているアプリから。KDDIの定額コンテンツ使い放題プラットホーム「auスマートパス」にも採用され、収益を得ている。
利用者向けの有料サービスも開発を進めている。機種変更のときなどに使う、日記データをクラウドに保存する機能は月額200円。また人気キャラクターを使う特殊デザイン(スキン)、日記に貼るシールを模した「ステッカー」は数百円単位で販売している。
サービス改善にも力を入れている。1日平均100件以上の要望を世界中から蓄積し、「目が悪いのでサイズを大きくしてほしい」など、2カ国以上から要望があった機能を実装する「クレームボックス」を運用している。多いときは1日で6000件を超える要望が集まるという。
今年1月にはモバイルゲームのKLabが同社株式の17.5%を取得し、資本提携。瞬間日記を通じ、KLabのゲームに送客を図っている。現在の利用者層はアジアが中心で、日本・中国・韓国の3カ国で90%を占める。今後は北米や欧州も狙い、世界中に「日記」ビジネスの規模を広げる。
「日記の歴史は日本がいちばん古い。日記文化を世界に広めたい」(園田社長)
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