筆者が子供の頃、「魔のバミューダトライアングル」で航空機や船が消息を絶つ、そんな都市伝説がささやかれていました。あっ、フロリダ沖の話だから都市伝説じゃなくて世界伝説か……。稀代のマジシャン、デビッド・カパーフィールドが、そんな伝説にあやかってか、バミューダの海に潜って遭難船を引き上げる……、なんて演出のマジック番組や「〇〇スペシャル! 魔の海の恐怖!!」なんてテレビ番組も放映されたこともあります。インターネットもない頃ですので、まだまだ世界が広かった時代のこと。
最近、航空機の事故が本当に多いです。航空機事故で被害にあわれた方々のご冥福や一刻も早い原因究明を願うばかりです。しかし、現代社会では、航空機は旅行や出張に欠かせない交通機関。これから搭乗なさるという方の中には、「飛行機が不安……」とストレスをためている方もいらっしゃるかもしれません。筆者も仕事柄、飛行機はよく乗りますので、決して他人事ではありません。
今週のコラムは、航空機の安全対策や事故防止に、どんなテクノロジーが使われているのかをピックアップしてみたいと思います。
敵味方、旅客機を見分けるトランスポンダって?
トランスポンダとは、航空機を識別するための送受信機のこと。2次レーダーとも呼ばれ、航空交通管制レーダーから送られてくる質問波に対し、航空機ごとの独自のデジタル識別コードで返信をする送受信機のこと。さらに軍用機であれば、敵味方識別装置としてもトランスポンダが搭載されています。ウクライナ上空の事故を教訓に、これからの近代ミサイル兵器などには、民間機を自動的にターゲットにしないためのトランスポンダ対応を義務化する声が高まっています。ただし、敵機が旅客機であることを偽装することも想定できるため、暗号化も含めて課題は山積みです。
ちなみに航空機同士の空中衝突防止装置にもトランスポンダが利用されています。日本では最大離陸重量5701kg、客席数20席以上の航空機に空中衝突防止装置の装備が義務になっています。
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