今回はインテルのCPUロードマップをアップデートしよう。前回のアップデートは9月末だったので、ほぼ半年振りである。
Haswell版Celeronを大量投入
まずは既存の製品についてのアップデートだ。昨年6月にHaswellベースのCore i7/i5/i3がリリースされ、さらに9月にはPentiumにもHaswellが投入されたわけだが、これに続き今年1月にはついにCeleron向けにもHaswellが投入された。それが「Celeron G1820/G1820T/G1830」の各製品だ。これまでの商品ラインナップの原則は以下の通りだった。
シリーズ名 | コア数 | スレッド数 |
---|---|---|
Core i7 | 4 | 8 |
Core i5 | 4 | 4 |
Core i3 | 2 | 4 |
Pentium | 2 | 2 |
ここから行けばCeleronは1コア/2スレッドになるのだろうが、さすがに競合製品と比べても性能が落ちすぎると判断したのだろうか、結果Pentiumと同じく2コア/2スレッドとなった。
そこで動作周波数を若干落とすとともに、2次キャッシュを2MBに削減することで性能の差別化を行なっている。この結果として、Celeronは4種類のアーキテクチャーが混在する非常にわかわかりにくいことになってしまった。
2013年6月に投入されたSandy Bridgeベースの「Celeron G470」は引き続き販売中で、1000個あたりの価格が37ドル。これと並行して2013年1月からIvy Bridgeベースの「G1610/1610T/1620T」も発売されており、これらがいずれも42ドル。
さらに9月には同じくIvy Bdiegeベースの「G1620T/1630」も追加されており、これは42ドルと54ドル。加えて2013年9月にはBay Trail-Dベースの「J1750/1850」が投入されており、これが72ドルと82ドル。
そして11月には「J1800/J1900」も追加されており、こちらもやはり72/82ドルとなっている。ここに加えて、Haswellベースの「G1820/G1820T/G1830」が42/52ドルで投入されるという、かつてのPentium 4なみにややこしいことになっている。
ちなみに前後したがPentium及びCeleron向けには、9月の時点でまずBay Trail-Dベースの「Pentium J2850」と「Celeron J1750/J1850」が投入されていたが、2ヵ月後にそれぞれ「Pentium G2900」と「Celeron J1800/J1900」にアップデートされている。
このアップデートでは、動作周波数などは一切変わっておらず、単にTurbo Boostを有効にしただけである。例えば「Pentium J2850」は定格2.41GHzであるが、「Pentium J2900」は定格2.41GHzながら最大2.67GHzまでTurbo Boostが利用できるようになっている。TDPなども変わらず、価格も94ドルで据え置きなので、これは本当にマイナーアップデートという位置づけである。
余談ながら、Haswellなどに比べてBay Trailの値段がやや高めなのは、チップセットが必要ないことに起因する。例えばHaswellベースの「Celeron G1820」は42ドルだが、利用するためには別途チップセットが必要になる。一番安いIntel H81を選んだとしても、こちらの価格が26ドルなので、合計すると68ドルとなり、「Celeron J1800」の72ドルとほとんど変わらないことになる。
実際にはソケットや実装面積なども加味すると、むしろ「Celeron J1800」の方が安くあがりそうで、そう考えるとこの値付けそのものはわりと合理的であることがわかる。
※お詫びと訂正:記事初出時、Core i3のスレッド数の表記に誤りがありました。記事を訂正してお詫びします。(2014年3月17日)

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