このページの本文へ

プレス向けのラウンドテーブルで、データセンター事業部の田口栄治氏が解説

ITシステムを自動最適化、インテルが推進するSDIとは

2014年11月07日 17時38分更新

文● 松野/ASCII.jp編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

11月7日、インテルはプレス関係者を集めてラウンドテーブルを開催し、同社が推進するSDI(Software Defined Infrastructure)戦略への取り組みについて説明した。

広がる生産性の格差、「戦略的な転換点に来ている」

インテル データセンター事業開発部 シニア・スペシャリストの田口栄治氏

 インテル データセンター事業開発部 シニア・スペシャリストの田口栄治氏は、「ご存じのように、私達を取り巻くビジネス環境は激変している」と口火を切る。「情報爆発はいよいよ本格的なものとなり、IoT(Internet of Things)により新規市場も形成され、2020年から2025年にかけては購買層の人口が倍増する。拡大した市場の中で、ますます企業間の競争は激化する」。

 そのような状況下で田口氏が危惧するのは、企業ごとの生産性の格差問題であるという。「例えばサービス業において、新規技術における生産性の指標を比べると、日本はすでにアメリカの約半分ほどにしか届いておらず、どんどん置いていかれている。戦略的な転換点に来ているということを、より市場に啓蒙していかなければならない」と警鐘を鳴らす。

「動物や生態系と同じようなインフラ構築を」

「これからはITのビジネス化と社会基盤そのもののIT化」と田口氏

 「企業のIT化による生産性の向上やコスト削減はすでに当たり前で、やりつくした感がある。今はITそのものをいかにビジネスに結びつけるか。社会基盤のIT化によるビジネスの拡大の段階へ来ている。基本的なコンセプトの部分は終わっているので、これからはITをどう使うかを考えなくてはならず、企業間の格差は加速度的に広がるだろう」。

 田口氏は、未来のITシステムに必要な要件として、システムの性能、市場分析の俊敏さなどを挙げつつ、最大の課題は運用コストの増大であると指摘する。

 「今までのOSとハードウェアだけの世界から、仮想レイヤーが入り、分散システムが入るなど、複雑化し、運用が大変になっていく。運用の自動化、システムが能動的に動くことがどうしても必要。システムの最適化や更新をシステム側がコントロールする、シームレスな新陳代謝が求められていくだろう。変わる世界に対し、動物や生態系と同じように、自動的に最新のものが最高のパフォーマンスで使えるようなインフラを構築し、現在の日本の硬直したIT基盤から脱却しなければグローバルな競争に勝っていけない。必然的に、Software Definedへの移行が目標となる」と語る。

ソフトでITシステムを制御、リソースの自動最適化も可能になるSDI

ハードウェアとアプリケーションの分離は進んできているが、リソースの最適化には至っていないという

 そこで同社が推進しているのが、CPUやメモリー、ネットワークやストレージなど、データセンターを構成するあらゆるハードウェアを抽象化し、ソフトウェアでシステム全体を制御するSDI(Software Defined Infrastructure)構想だ。これにより迅速かつ柔軟なシステム変更が可能となり、負荷や性能に対応したリソース配分の自動最適化なども可能になるとされている。

 「ハードウェアとアプリケーションの分離は進んできているが、最適化がされていない企業システムのハードウェア使用率は50%ほど。今後求められるのはより粒度の細かいリソースプールの作成。豊富なリソースプールの中から最適なハードウェアを構築できるようにすれば、それだけ効率は上がり、運用の手間が減らせる。最適な資源をアプリケーションごとに最適に割り当てて運用できれば、現在の一般的なリソースの使い方に比べ、倍以上の生産性が出る」。

基盤の属性をきちんと伝達できなければ、SDIの効率的な運用はできない。現在は属性の標準化基準を策定しているとのこと

 SDIの実現に欠かせないのは、リソースの適切な割り当てに必要な情報の伝達だという。「インテルはSDIの構成に際して、基盤の属性を明確にしている。どれくらいの性能か、どれぐらいのリソースや電力を使っているか、どこに設置されているのか、これらを明確にオーケストレーションのソフトウェアに伝えられなければ、必要なリソースを適宜割り当てることができない。9月から、これらのAPIの標準化をDMTF(Distributed Management Task Force、IT環境のシステム管理の標準を策定する団体)とともに推進している。非常に重要な仕事だ。来年に向け、Software Defined的にシステムを構築するための活動を推進していく」とした。

■関連サイト

カテゴリートップへ