このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

Yoga 2との違いは? Lift'n'Lock キーボードはどのように生まれた?

ThinkPad Yogaはなぜ“ThinkPad” なのか

2014年02月20日 12時00分更新

文● 貝塚怜/ASCII.jp編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

静電容量式の近接センサー。一体何に使っているのだろう?

HDD アクティブ・プロテクション・システムも進化!

—— ほかにも、ThinkPad Yogaならではの新しい試みがあれば教えてください。

小杉「ThinkPad YogaはストレージにHDDを採用しているので、APS(アクティブ・プロテクション・システム)を改善しました」

篠原「加速度センサーを用いて、落下や衝撃の可能性がある場合に磁気ヘッドを退避するという仕組みですが、持っているだけなのに働いてしまうケースがあったんです」

小杉「これまでも、連続した弱い振動が伝わった場合などは『人が持っている』と判断するようにしていたのですが、これではまだ不十分だと思いまして、ThinkPad Yogaでは近接センサーを用いています」

—— 近接センサー? どこですか?

小杉「外からは見えません。内側に入れている静電式のセンサーです。人が持った際にケースから伝わる電流を検知することで、不適切な作動を防げるようにしました」

実際にボードも組み込んだ様子。隙間を利用していて無駄がない

木下「そのほか細かな部分ではありますが、IdeaPadラインのYoga 2 Pro同様、ディスプレーの渕に滑り止めとして硬質ゴムを配置し、Tentモード時の使い勝手も向上させています」

アメリカからも心配の声があった

—— ThinkPadシリーズでは初の機構を搭載しただけでなく、新しい試みも盛り込みんだ点に脱帽です。

篠原「無事完成度の高いかたちで製品化できて、本当によかったです」

小杉「ThinkPad Yogaは、新しいジャンルのThinkPadということもあって、色々な部署から心配されもしましたからね」

篠原「我々としては順調に進んでいる感触がありましたし、それを社内レビューでも積極的にアピールしていたのですが、やはり一般的なクラムシェルのThinkPadと比べると機構が複雑な分、皆心配だったようで」

木下「大和研究所だけでなく、アメリカの開発チームからも心配の声が届きましたよね」

篠原「『大丈夫か?』『ちゃんと進んでるのか?』って(笑)」

小杉「多少苦心した面もありますが、最終的に『Ultrabook基準でYogaヒンジを搭載、ThinkPad基準の耐久性能を持ったThinkPad版Yoga』がきちんと作れてよかったと思います!」

 Yogaヒンジの搭載、Lift'n'Lock キーボードという新たな試みが、付加的に別の設計要求を生み出したのも、基準が厳しいThinkPadシリーズならでは。Lift'n'Lock キーボードの機構が思ったよりも早い段階からあったことには驚くが、話をきいてみればやはり“ThinkPad基準”を満たすための苦労があったことが分かる。

 「Yogaヒンジを搭載したThinkPadならThinkPad Yoga」というわけにはいかない。設計者がThinkPad基準をクリアしたからこそ“ThinkPad” Yogaなのだ。

前へ 1 2 3 次へ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中