DSPで音場を拡張した「Jawbone/MINI JAMBOX」
このセグメントの草分け的存在である「JAMBOX」のアップデート版として登場したのが「MINI JAMBOX」。先代のJAMBOXは内蔵バッテリーで左右のスピーカーを駆動し、その背圧で動くパッシブラジエーターで低域不足を補うという、このセグメントの製品デザインを確立した機種でもあった。
それをさらに薄く軽くしたのがMINI JAMBOXということになる。音質を向上させようと思えば、単純にエンクロージャーを大きくして、マウントできるユニットの口径を大きくすればいい。左右ユニットの距離も稼げるので、ステレオの音場感も改善する。同社にも「BIG JAMBOX」という大型の機種が存在する。
しかし、メーカー側がMINI JAMBOXの設計に際して留意した点は、当初のサイズ感をより際立たせることだったそうだ。大型化は携帯性を損ねるだけでなく、同時にユーザーの至近で使える手軽さも失う。つまり使われる機会が減ってしまうのだ。Bluetoothスピーカーの利用シーンを分析した結果、Jawboneはユーザーが身近において使えるデザインを先鋭化させたわけである。
MINI JAMBOXの横幅は154mm。このサイズでは当然、まともなステレオ音場は得られないが、JAMBOXシリーズはメーカーサイトからスピーカーにデータをダウンロードすることで、様々な機能を追加できる。その中にDSPで音場を拡張する「LIVE AUDIO」と呼ばれる機能がある。
こうしたバーチャルサラウンドの類の効果は大したことがなく、音質的にも難がある場合も多いが、LIVE AUDIOは拡張効果も高く、常用できるクオリティーを持っている。ステレオで聴いた気になれるという点では、このサイズのスピーカーの中では傑出した機能を持つ。