Mac OS X、Windowsとともに進化を重ねた「Office」
Officeといえばマイクロソフトの製品、マイクロソフトといえばWindows、そう連想するのも無理はないが、Officeという製品の一面しか見ていないことも事実。OfficeにはMac版の「Office for Mac」があり、最初のリリースはいまから24年前の1989年にまで遡る。ちなみにWindows版のリリースは1990年……実はMac版のほうがWindows版より歴史は古いのだ。
そして現在に至るまで、Mac版Officeのサポートは続けられている。一時期、Windows版のみのリリースとなったバージョンはあるが、ここ15年を見るかぎりMac版がドロップしたことはなく、Windows版とMac版は交互にリリースされ、それぞれのバージョンで最新機能が追加された後、改めて別のプラットフォームに移植されるという形で進化してきた。たとえば配置ガイドという機能はOffice for Macで実装され、その後Windows版Officeに移行された。Excelの条件付き書式はWindows版から始まり、Office for Macに移植されている。
Windows版をリリースし落ち着いたところでMacへ移植、といった開発体制を敷かなかったところに、Officeという製品におけるMac版の位置づけがうかがえようというものだ。
それだけに、Mac版Officeは「Windows版と大きく変わらない」。特に2010年10月に発売された「Office 2011 for Mac」は、一時期機能が取り除かれていたVBA(Visual Basic for Applications)のサポートが復活するなど、Windows版との機能差が縮まった。Mac版独自のメールリーダ/スケジュール管理ソフト「Entourage」も、Windows版と同じ「Outlook」に置き換えられ、Exchange Serverとの連携が可能になっている。
iPhone/iPadのヒットもあり、ここ数年Macユーザーは増加傾向にあるが、Windows PCからMacへ乗り換える際にネックとなるのがソフトの互換性であり、実際WindowsにはあるがMacにないソフトは多数ある。Officeについても、Windowsで獲得した文書作成ノウハウをMacで生かせるか、作成した書類をMacでも変わらず利用できるかが、そのような乗り替え組には重大関心事となることだろう。

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