9月10日からのIDFを控えて、いろいろインテル製品の動きが激しい。9月に入ってまずはHaswellベースのミドルレンジCPUが大挙発表になり、9月3日にはIvyBridge-Eベースの「Core i7-4960X」が、そして5日にはSilvermontコアを搭載したAvotonこと「Atom C2000」の情報が解禁になっている。そこで今回は、この「Atom C2000」について説明したい。
未だに詳細がわからないSilvermontコアと
謎のプラットフォームEdisionbill
まずAvoton/Rangeleyについてだ。どちらもほぼ同じ製品であるが(違いは後述する)、どちらもCPUコアには新しいSilvermontコアを搭載する。Silvermontコアの詳細は未だに発表されていないのだが、インテルの担当者に聞いた話は以下の通りだった。
- 2命令のSuperScalar/Out-of-Order
- パイプラインはそれほどに長くない(十数段?)
製品は、高い絶対性能よりも、高い性能/消費電力比、あるいは低価格(=省ダイサイズ)をターゲットにしているため、それほど極端に複雑な回路構成ではないと思われる。
おそらく、性能/消費電力レンジはAMDのBobcatやJaguarと同程度になるのではなかろうか。動作周波数は後述するが、こちらも1.7~2.4GHzといったレンジで、絶対性能もJaguarベースSoCとどっこいどっこいではないかと想像される。
Jaguarとの違いは、WestmereベースのCore iと同等としているのでAVX命令をサポートしないこと。なぜかと問いただしても、「このコアの目的には、AVXを利用するような演算処理は含まれていない」という回答であった。
上の画像がそのSilvermontコアを搭載したAvotonの内部だが、やや図がつぶれていて見難いので、抜き出したのが下図である。
最大4組のDual-Core Silvermont+2次キャッシュがSSA(Silvermont System Agent)と呼ばれるユニットに繋がる。このSSAは昔で言うところのMCHであり、4組のSilvermontを接続する他、2chのDDR3メモリコントローラー、PCI Expressのコントローラー、それとIOSFのコントローラーなどが搭載される。
South Complexは昔のICHであり、こちらにPCI ExpressやGbE/USB/SATAなどがまとめて搭載されている。ただこのNorth ComplexとSouth Complexはあくまで論理上の区分けであり、物理的には1つのダイになっている。
25セント硬貨のサイズからから推定すると、パッケージサイズは35.5mm×28.5mm、ダイサイズは10.7mm×11.2mmで約120平方mmといったところ。ダイに比べてパッケージがやや大きいのは、それだけ信号線が多いためであろう。
このAvotonを搭載するのがEdisonbilleというプラットフォームだ。構成としては、Avoton周辺機器を搭載した“だけ”である。
なぜでこれほどシンプルなのかというと、1つのカードにAvotonを4つ搭載するリファレンスカードなどがあるため、こうしたものを作るとなると、なるべくならAvoton1つで全部システムが完結するようにしないとカードに収まらないからだ。
ちなみにこの「4つのAvotonを載せたカードがEdisionbill」なのか、これは「4つのEdisionbilleを乗せたリファレンスカード」なのか、今の時点では情報がない。というのは、他にDouble Coveと呼ばれる、Avotonを2つ搭載したカードも存在したからだ。
したがってEdisionbilleはあくまでAvoton1つ分のプラットフォーム名称で、これを2つないし4つ搭載したリファレンスカードがある、と考えたほうがよさそうだ。
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