シスコシステムズ、世界のIPトラフィック予測を発表
牽引役は動画!TVはインターネットに取って代わられる
2013年06月11日 06時00分更新
6月7日、シスコシステムズは年次調査報告書「Cisco Visual Networking Index(VNI)Forecast(2012-2017)」を発表した。世界的にIPトラフィックが増大する中で、日本のトラフィック拡大を牽引するのは動画(ビデオ)であることが判明した。
2017年のIPトラフィックのCAGRは
日本が世界を上回る
Cisco VNI Forecastは、世界のIPトラフィックに関する予測と傾向分析をまとめた調査報告書で、今年で7年目になる。その報告書から、シスコシステムズ グローバルテクノロジー政策担当 バイスプレジデント ロバート・ペッパー氏は、特に日本のトラフィック拡大に関するデータを抜粋し、考察を加えた。
同報告書によると、全世界のIPトラフィックは2012年の44エクサバイト/月から121エクサバイト/月へと急増、2017年までには年間1.4ゼタバイトに達すると予想される。「1984年から2012年までの総トラフィック量は、1.2ゼタバイト。それを1年間で上回る計算だ」(ペッパー氏)。
日本のIPトラフィックも、2012年の2.3エクサバイト/月から2017年の8.1エクサバイト/月への拡大が見込まれる。
ここでペッパー氏が注目したのは、年平均成長率の違いだ。両者を比較すると、全世界のCAGRは23%であるのに対し、日本は28%と全世界を上回る見込みだ。
この予測の理由は、「インターネットユーザーの増加」「デバイスの増加」「ブロードバンドの高速化」「リッチメディアコンテンツの増加」とペッパー氏は言う。
まず、インターネットユーザーの増加だが、日本はすでに人口の99%がインターネットにアクセスしており、伸び白はないはずだ。それでも伸びる理由に、「ひとり当たりのデバイス所持数が高く、全国に敷かれた高速ネットワーク網を使って、よりリッチなコンテンツを今以上に利用するようになると予測されるから」と、ペッパー氏は分析する。
実際、デバイスの種類別にインターネット接続数を見ると、日本ではスマートフォンの接続数が、2012年の10.2%から2017年の20.5%と上昇すると予想される。
その結果、インターネットトラフィック量は、2012年に84.9%だったPCが2017年には43.6%と半減する一方で、スマートフォンが2017年に39.9%まで占めると予想される。
同時に、固定ブロードバンドの高速化も進む。世界的には、2012年の平均速度11Mbpsが2017年の39Mbpsへ、約3.5倍に伸びると予想。また、FTTHの普及も加速し、特に日本では2017年に82%まで普及すると見込まれる。
2017年にはビデオが69%にまで拡大
では、トラフィック増と高速接続を牽引するのは何なのか。その答えは「動画」とペッパー氏は断言する。
日本のIPビデオトラフィックを見ると、2017年には69%を占めると予想され、日本の最頻時トラフィック速度は平均時トラフィック速度の約3倍にもなると見込まれる。最頻時トラフィックの年平均成長率は39%で、平均時トラフィックの34%を上回ると推測される。「インターネットが最も利用される時間帯は、21時から深夜1時と言われる。帰宅後、スマートフォンなどで動画を楽しむ人たちが今以上に増えるという予測だ」(ペッパー氏)。
この傾向は特に日本で顕著で、世界の総インターネットトラフィックのうち、2017年にCDN(コンテンツデリバリネットワーク)が占める割合は51%と予想される一方で、日本は60%と上回る見込みだ。
ペッパー氏はこれらを総合し、特に日本では動画の利用増加がインターネットトラフィックの増大や高速接続の要因であると結論付けた。「テレビなど従来のマスメディアは、インターネットに取って代わられるのは確実だ」(ペッパー氏)。

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