オーバーレイ型のネットワーク仮想化製品も投入
IBMのインフラ仮想化は「Software-Defined Environment」に
2013年06月12日 06時00分更新
仮想化・自動化の範囲をネットワークまで
6月11日、日本IBMはサーバー、ストレージ、ネットワークまでを包括するインフラの仮想化・自動化戦略「Software-Defined Environment(SDE)」を発表した。
SDEは多彩なワークロードに最適化されたインフラを容易に構築すべく、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのリソースを自動的に配分する。ワークロードはIBMが顧客の分析に基づいて得られた分類をベースにしており、処理パターンと機能要件・非機能要件に基づき、抽象化される。これを元に今度は異種混合のリソースとシステムの構成要素をさらに抽象化し、要件に基づいたリソース割り当てるという。今まで手作業でやっていた作業を迅速に自動処理し、効率化とアジリティ(迅速性)をもたらす。

インフラの仮想化・自動化戦略「Software-Defined Environment(SDE)」
このSDEを実現するため、同社ではSDNを実現するOpenFlowはもちろん、クラウド用の基盤であるOpenStackやSDNコントローラーを定義するOpenDaylightなどのOSSをサポート。プライベートクラウドや異種クラウドのシームレスな連携を実現しつつ、ベンダーロックインを回避するという。
ネットワーク仮想化製品やストレージの拡張も
あわせてVMware上で動作するネットワーク仮想化ソリューション「SDN for Virtual Environments VMware Edition(以下、SDN VE)」を投入した。SDN VEは既存のIPネットワークを有効活用するオーバーレイ型のソリューション。VMware上で動作する分散スイッチと仮想アプライアンスで構成されており、トンネリングにはVXLANを用いる。

SDN for Virtual Environments VMware Edition
従来から同社が展開しているOpenFlow対応のスイッチやコントローラーを用いたホップ・バイ・ホップ型のソリューションとあわせ、包括的なネットワーク仮想化機能を提供する。

ホップ・バイ・ホップ型とオーバーレイ型のネットワーク仮想化ソリューション
SDN VEの最小構成価格は1ソケットあたり2万2100円(税別)で、6月21日から出荷する。
ストレージにおいては、アプリケーションの優先度に応じた自律的データ配置の最適化により、処理の高速化とシステム資源の使用効率を向上させるストレージソフトウェア「IBM System Storage Easy Tier Application(Easy Tier Application)」を発表。Easy Tierと、アクティブデータのリアルタイム圧縮機能「IBM Real-time Compression」の両機能を、「IBM Storwize V7000」とストレージ仮想化製品「IBM SAN Volume Controller(SVC)」において、同時に利用できるようになった。
その他、プライベートストレージクラウド環境を簡単に構成できるソフトウェア「IBM SmarterCloud Storage Access(SCSA)」の開発意向も表明され、V7000、SVC、「IBM XIV Storage System」などSANストレージに対応するほか、ストレージ利用を可視化し、使用量に応じて課金できる機能も追加する。

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