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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第18回

ダサイ名前?クールな名前?ネーミング・デザインの考察

2013年06月07日 09時00分更新

文● 前田知洋

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自分でおこなうネーミング 3つのポイント

 もし、これをお読みの方が起業家であったり、フリーランスだったりと、予算などの制約でアウトソーシングできない場合、自分でおこなえるネーミングのポイントを挙げておきます。

●造語であれば、カナ文字数4~6がいい

 創業社の氏名を会社名に使うこともよくあります。歴史のある会社であれば「トヨタ」「ホンダ」「カシオ」など(正式名称では、自動車、計算機などがつくこともあります)、比較的新しい会社では「ダイソン」もそうです。しかし、もし造語を使うのであれば、4文字から6文字がいいでしょう。3文字以下だと、会社登記や商標が登録をしにくくなったり、それ以上の文字数であると省略されて使われることが多くなります。最近、ローンチした「ザ・ハフィントン・ポスト」が「ハフポ」や「ハフポスト」になったり、「プレイステーション」や「ファミリーコンピュータ」が「プレステ」や「ファミコン」と呼ばれる例を挙げるまでもないかもしれません。

「くま」+「もん(者の熊本弁)」で「くまモン」。2010年に登場以来、今も人気モン

●音のイメージと記憶 破裂音「P B D K G音」、鼻音「M N音」を入れる ただし、入れすぎ注意

 ロゴのような文字の形でなく、音のイメージでいえば、破裂音「P B D K G音」や鼻音「M N音」の入った短いフレーズは記憶されやすいといわれています。たとえば前のページであげたヒット商品では、「ソイッシュ」を除いてすべての商品名に破裂音「P B D K G音」、鼻音「M N音」のどれかが入っています。ただし、入れすぎると重たい名前になりやすくなるので注意が必要です。例を挙げると、巨大で力のある動物「ゴリラ」と「クジラ」をあわせた「ゴジラ」は、怪獣の名前としては日本だけでなく海外にも強いインパクトを与えました。しかし、商品名としては少し重すぎるかもしれません。

●外国語で奇妙なイメージをもたれないかもチェック

 最近は優れたサービスや商品は、日本国内だけでなくネットを通じて海外にも発信されます。そんなことから、日本語の商品名としては語感がよくても、英語などの外国語にすると奇妙な意味になってしまわないように注意する必要があります。事前に外国語が堪能な友人や知人などにチェックしてもらう方法もありますが、社外秘のプロジェクトなどではリスクがあります。そうしたことを避けるために、ラテン語やスペイン語を由来とした商品名が使われることもあります。たとえば、ラテン語で「先駆け」を意味する「プリウス」は、ハイブリッド車のコンセプトにピッタリであったせいもあり、世界中でヒットしています。

 もちろん、ネーミングだけで商品やサービスがヒットするわけではありません。しかし「商品はいいのに思うようにヒットしない」そんなときは、ネーミングを改めてみるのもいいかもしれません。

マジシャンが飼っているネコなので「ヒミツ」と名前をつけた

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「Magical Branding-セルフブランド活用法-」を配信中。

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