製品化に成功するも
商業的には大失敗
SiS R658は上図のような構成である。2002年3月にインテルがリリースしたIntel 850Eとほぼ同じ構成で、強いて言えばAGP 8xへの対応やUSB 2.0のサポート、UltraATA/133の対応、最大4GBのメモリーサポートおよびECCのサポートなど、若干の機能強化が図られている。そのためIntel 850Eよりも競争力があると言えばある製品である。
ただインテルはIntel 850Eをリリースする前にDDR-SDRAMへの移行を進めており、R658のやや後になる2002年10月にはIntel 845PE/Intel 845PEをリリースする。こちらはDDR333のデュアルチャンネルをサポートし、AGPこそ4xのままながらUSB 2.0を6ポート搭載するなど競争力を高めている。
翌2003年5月にインテルは、DDR400のサポートや800MHz FSB、8ポートUSBなどでさらに競争力を高めたSpringdaleことIntel 865PE/Intel 865G、そしてハイエンド向けとしてCanterwoodことIntel 875Pをリリースしている。これらと比較すると、SiS R658が有利とは到底いえない状況だった。
それでも、台湾AbitはこのR658を搭載したマザーボード「Abit SI7」を2003年1月に発表(関連リンク)する。大胆なことに、このSI7は通常の16bit RIMMではなく、2ch分をまとめてカバーする32bit RIMMを使う構造になっており、これもあってPC1066とPC1200がサポートされる形になっていた。
32bit RIMMは、PC800がスペック上はあったもののほとんど流通しておらず、主流はPC1066だった。そしてハイエンド向けにサムスンがPC1200をこの32bit RIMMでリリースしており、PC1066とPC1200のサポートというのはある意味マーケットの動向にあわせた形と言える。
製品としてはSI7とSI7-G(関連リンク)の2製品が用意されており、両者の違いはSI7が10/100BASE-Tイーサネット、SI7-Gがギガビットイーサを搭載しているだけである。とはいえSI7は、2003年5月には早くも販売が中止されており(関連リンク)、2005年頃には既にアーカイブページにもSI7そのものがない有様である。
R658を搭載したマザーボードは、このSI7(とSI7-G)が唯一である。世界的には販売実績もあるから製品化に成功したといえばしているのだが、その販売数は非常に少なく、実際のところはRAMBUSやサムスンが、32bit RIMMやPC1200の動作デモ用に使ったのがほとんどなのではなかろうか。国内で販売された話はまったく聞かないので、商業的には大失敗の部類に入るだろう。
Direct RDRAMと運命を共にした
SiS R659
SiSは、R658の失敗に留まらず次なるチップセットの開発を表明した。それがSiS R659である。当初は2003年第3四半期にこれをリリース予定だったが、最終的に製品発表は2003年10月までずれ込んだ(関連リンク)。
SiS R659の構成は下図のような形で、Direct RDRAMを4ch搭載、最大9.6GB/秒のメモリー帯域を実現可能とした。また800MHz FSBに正式対応するほか、サウスブリッジはSiS964に切り替わり、若干の機能追加もなされている。
ライセンスの問題で公式にはサポート表明できなかったが、2プロセッサー構成も内部的には可能で、Xeonを使ってのワークステーション動作も当初から念頭にあったようだ。
このR659に関しては、ASUSTeKより「P4S13G」というマザーボードが2003年11月に発表(関連リンク)される。上図と異なるのは、最大メモリー量が4GBに制限され、ギガビットイーサとSATA RAID、IEEE802.11a/b/g無線LANを搭載するといった程度である。が、このP4S13Gは発表こそされたものの、製品出荷の前に開発は中断、最終的にR659もろとも消えることになってしまった。

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