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最新パーツ性能チェック 第128回

ハイミドルクラスGPU「GeForce GTX 660 Ti」の圧倒的性能を見る

2012年08月16日 22時01分更新

文● 加藤 勝明

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 2012年8月17日、NVIDIAはKepler世代のハイミドルクラスGPU「GeForce GTX 660 Ti」(以下、GTX660Ti)を発表した。

NVIDIAの最新GPU「GeForce GTX 660 Ti」

 フルHDゲームのためのGPUとして設計された先代のGTX560Tiはコストパフォーマンスの高さで一躍定番ビデオカードとなったが、AMDがRadeon HD 7850/7870をリリースして以来、Fermi世代ゆえのワットパフォーマンスの悪さが目立つようになってしまった。GTX660Tiの登場で、ようやく手ごろでワットパフォーマンスの高いハイミドルクラスのGeForceが利用可能になったのだ。

GeForce GTX 660 Tiを搭載したリファレンスビデオカード

 NVIDIAからすれば、ぽっかり大きく空いてしまったGeForce GTX 670(以下、GTX670)とGeForce GTX 560 Ti(以下、GTX560Ti)の性能ギャップを埋め、そこに根を下ろしてしまったRadeon HD 7850~7870にようやく対抗できるようになる。
 発表と同時に各社からGTX660Tiを搭載したビデオカードが発売されるが、GTX560Tiの発売時と同様に、リファレンスデザイン準拠の定格クロックモデルよりも、オーバークロックモデルのほうがラインナップの大半を占めるという事態が予想される。そこで今回は、リファレンスデザインのビデオカードではなく、あえてGIGABYTE製のオーバークロック版「GV-N66TOC-2GD」を使って、GTX660Tiのパフォーマンスをチェックしてみたい。

今回入手したGIGABYTE製GTX660Ti搭載カード「GV-N66TOC-2GD」。同社自慢のWindForce IIクーラーが特徴だ

 まず手始めに、GTX660Tiの概要からチェックしていこう。まずはNVIDIAの資料によるスペックから見ていきたい。GTX670と非常によく似ているが、メモリーバス幅が狭くなり、ROPも減っていることがわかる。なお、GTX660Ti/670のTDPはPower Target最大設定時の値だ。

GPU比較
GPU GeForce GTX 670 GeForce GTX 660 Ti GeForce GTX 560 Ti Radeon HD 7970
ストリーミング
プロセッサー数
1344基 1344基 384基 2048基
コアクロック 915MHz 915MHz 822MHz 925MHz
ブーストクロック 980MHz 980MHz - -
メモリー転送レート(相当) 6008MHz 6008MHz 4000MHz 5500MHz
メモリー種別 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリー容量 2GB 2GB 1GB 3GB
メモリーバス幅 256bit 192bit 128bit 384bit
PCIe電源タイプ 6ピン×2 6ピン×2 6ピン×2 8ピン+6ピン
消費電力 170W 165W 170W 250W

 GTX660Tiを語る上での核心部分となるのが、SP数やコア/メモリークロックの仕様は完全にGTX670と同じなのに対し、メモリーバス幅が256bitから192bitへ減少、ROPも32から24へ減っている。
 Keplerアーキテクチャでは、GTX680/670のメモリーコントローラーは全部で4基あり、1基あたり64bitの幅を持っている。またGPUが計算した映像をビデオメモリーへ書き込むROPは、8基が1グループでメモリーコントローラーと1対1で設置される。つまりGTX670からメモリーコントローラー1基と隣接ROP1グループ分をざっくりと削ったものがGTX660Ti、ということになる。SP数を減らすよりメモリーにボトルネックを作り、そこで性能を絞っているというわけだ。

GeForce GTX 660 Tiのスペック

発熱量などに余裕のある時に自動でオーバークロックする「GPU Boost」にも対応する

 動作クロックに関しては一応リファレンス的な数値は定められているが、実際は多様なオーバークロック設定で出荷することが前提のようだ。Keplerアーキテクチャーなので、発熱量などに余裕のある時にオーバークロックを行なう「GPU Boost」にも対応している。

GV-N66TOC-2GDのヒートシンクを外した状態。この製品の基板はリファレンスよりもやや長い212mmだが、電源コネクター部分にはほとんど回路らしきものがない

GIBAYTEのオリジナルクーラー「WindForce II」

クーラーは基板よりも40mmほど長いので、実際のビデオカードの全長は252mmとなる

 今回テストした「GV-N66TOC-2GD」では、コア1033MHz、ブーストクロックの目標値は1111MHz。様々なメーカーの製品リリース情報を総合すると、オーバークロック版は1011~1033MHzの設定になっているものが多い(ちなみに最大はASUSTeKのDirectCU II搭載モデルの1072MHz)つまり、この製品のコアクロックは“ややキツめ”に設定されているようだ。

補助電源コネクターは従来と同じ6ピン×2の構成。6ピン1系統で動くGPUは、GTX660(無印)より下のグレードになる

出力端子はDVIが2系統にDisplayPort、HDMIというお馴染みの構成。3台のディスプレーを接続して合体させる「NVIDIA Surround」に対応している

 GPUスペック以外のGTX660Tiの特徴としては、ショート基板も可能になっていることや、1枚で3画面サラウンド機能に対応していること、SLIブリッジコネクターを2基備えるため、最高3-Way SLIまで構築可能な点が挙げられる。GTX670の設計をそのまま流用しているので、むしろ当然といえる。TDPも5Wしか下がっていないため、補助電源コネクターは6ピン×2の構成になっている。

「GPU-Z」による今回テストしたGTX660Ti(左)の情報。右は同じGIGABYTE製のGTX670カード「GV-N670OC-2GD」だ。どちらもオーバークロック版なので単純な比較はできないが、今回テストした製品に限っては、GTX670よりもメモリー帯域が絞られた分、クロックを上げていることで性能低下をカバーしているようだ

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