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MacPeople編集長が振り返る新機種とWWDC

今買うべきノートは「MacBook Air」「Pro」「Retinaモデル」

2012年07月09日 11時00分更新

文● 広田稔(kawauso3)、語り●吉田博英(MacPeople編集長)

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次期CEOはフォーストール氏? 気になる基調講演の時間配分

── ただ、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルを出しながら、普通の15インチMacBook Proを残したのはちょっと不可解ですよね。

吉田 そもそもWWDCの基調講演では、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルのことを「Next Generation」(次世代)と紹介していたけど、世の中に存在している製品に次世代と付けるのは違和感を感じる。その次世代を紹介しつつ、旧製品の15インチMacBook Proのラインも残してしまう矛盾はどうかなって。

 たぶん、MacBook Proは単純に売れてるから残したんじゃないかな。MacBook Pro Retinaディスプレイモデルはテストケースのように投入しているからこそNext Generationなんだろうけど、あの発表の方法はちょっと奇妙だよね。CEOのティム・クック(Tim Cook)色ということなのかな?

ティム・クック(Tim Cook)CEO。画像はアップルが配信する基調講演の動画より

── 先月のインタビューでは、もっとクックCEOの色を出してもいいのでは、という話も出てましたよね。

吉田 今回、クックCEOのプレゼンで、ちょっとした仕草やオーバーリアクション気味なところがジョブズっぽかったという声も出てましたよね。

 あと気になったのは、iOS担当上級副社長のスコット・フォーストール(Scott Forstall)氏が最後の45分ぐらい話していたところ。最初にクックCEOが出てきて業績を語って、フィル・シラー(Phil Schiller)氏がMacBookシリーズ、クレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)氏がOS X Mountain Lionを紹介した。その後、iPhone系の話に切り替わって業績の話も出たのに、もう一度クックCEOは出てこなくて、フォーストール氏が解説していた(「毎分2119ツイート—Twitter上のWWDCの盛り上がりを分析」)。それって何か理由があるのかな。

iOS担当上級副社長のスコット・フォーストール氏

ワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー(Phil Schiller)氏

ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)氏

── フォーストール氏の存在がアップルの中で大きくなっているということですか?

吉田 フォーストール氏は初代iPhoneから開発の中心メンバーだった。ジョブズにキャラが近いし、彼が次期CEOという声もある。WWDCにおけるiPhoneのパートは、Macに比べて尺も長かった。それはアップルがiOSに力を入れてる証拠でもあるけど、直近にリリースするMountain Lionが少ないのは不思議に感じる。

 クックCEOより目立ってるのは、何かの力関係があるのかな? 単にクックCEOがカリスマというより、まじめで堅実なキャラなだけかもしれないけど。

── 力技で人を引きつけるようなプレゼンは、故スティーブ・ジョブズ氏しかできないですよね。

吉田 ジョブズ氏がCEOだったときは、そこまで革新的じゃない製品でもプレゼンで目立たせていたけど、今後はどうやって話題を引っ張っていくか。いいものを作るだけでなく、一般人の心に刺さるアピールができるような人が必要だよね。

 使いやすいだけじゃ製品って広まらない。例えば、世界中で売れてるiPadが、なぜ日本で広まらないのか。実はiPhoneが日本で普及したのは、ソフトバンクの孫社長が安い通信プランを用意して、端末代金が実質無料とか仕掛けたからだと思うんだよ。特にITに興味があるわけでもないユーザーが普通にスマートフォンを持とうと思ったときに、ソフトバンクが一番安くて、さらに使いやすさがあったから選ばれた。

── 振り返ってみれば、iPodが日本で浸透し始めたのはiPod miniがきっかけで、そのときは前刀禎明氏が日本の顔だった。記者発表会では、IT系に限らずファッション系の出版社も集めていました。とりわけ日本の場合は、そんなIT系以外にもアプローチできるエバンジェリスト、キーマンが必要なのかも。

吉田 そこは必要かもね。日本は独自でいろいろあるので、「アメリカで売れてるから」ってだけで必ずしも売れる訳ではない。あれだけ強烈なキャラを持っていた人がいなくなったんだから、ローカルでも目立つ人が必要なのかもね。

2004年のiPod mini発売時には、米アップルコンピューター(旧社名)のマーケティング担当上級副社長だった前刀禎明氏が日本でのプレゼンを担当した

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