アップルが、Mac用最新OS、「OS X Mountain Lion」を今夏リリースすると発表した(Mac App Store経由のみで提供)。現バージョンの「OS X Lion」から、わずか1年足らずのメジャーアップデートながら、搭載される新機能は100以上にのぼる。
アップルは、現バージョンOS X Lionから、iPad/iPhoneなどiOS機器における操作の特徴を取り入れ始め、OS X Mountain Lionでそれをさらに押し進める。iCloud連携も大幅に強化しているのだ。
同時に、世界的に勢いのあるMacを中国市場でも本格的に展開する模様で、中国独自のインターネットサービスとの連携も強化されている。
1年足らずでのメジャーアップデート
アップルは突如、Mac用新OSの「OS X Mountain Lion」を発表した。実際のリリースは夏頃の予定だが、一時は2年に一度ほどだったMac用OSの更新ペースが、前バージョンの「OS X Snow Leopard」からLion、そしてLionから今回のOS X Mountain Lionと毎年の更新ペースを取り戻しつつある。
現バージョン「OS X Lion」のテーマは「Back to the Mac」だった。これは、今やすっかりアップルの看板製品となったiPhone、iPadそしてiPod touchといったiOS製品の特徴を、元々の主力製品だったMacに還元しようという意味で、MacをポストPC時代にマッチした新しい「パーソナルコンピューター」として再創造しようという試みでもある。
看板製品のiOSが毎年更新されていることを考えると、「Back to the Mac」を進めるには、MacのOS更新のペースをあげることも必要なのかもしれない。
現在、Macは世界的に絶好調だ。アップルの発表によれば2012年度第1四半期のMacの出荷台数は過去最高の520万台。前年同期比で26%も売り上げが伸びており(関連リンク)、これで、Macの累計出荷台数が約6300万台に達した。一方、IDCによるパソコン市場全体の2011年第4四半期出荷台数は-0.17%(関連リンク)。Macが1ブランドで、パソコン市場を牽引している形が見て取れる。ちなみに、Macがパソコン市場の平均を上回るペースで売れる状態は、これで23四半期、実に6年弱続いたことになる。
Mac絶好調の直接の原因は超薄型ノートパソコンのトレンドも生み出した「MacBook Air」の絶大な人気によるものだ。また、その人気を影で牽引しているiPhoneとiPadを忘れてはならないだろう。
3704万台(2012年度第1四半期)と驚異的な販売数を記録したiPhone、毎日のように新しい活用事例が生み出され続けているiPadも1543万台(2012年度第1四半期)を販売ととてつもなく成功しており、「アップル」のブランドそのものが向上した。
これらの機器と併せて使うのであれば、パソコンも同じ会社のMacを選ぶ人が急増しているというわけだ。
そう考えると、「Back to the Mac」戦略を押し進め、iOS機器と操作の統一や連携強化を計ることは、今後アップルにとっても、利益率の高いMac製品の売れ行きをさらに加速させる非常に意義深いビジネス戦略ともいえる。
もちろん、パソコンに代わってどんどん利用時間が増え続けているiOS機器とMacの連携がより進むことは、両製品を持つユーザーにとっても非常にうれしいことで、OS X Mountain Lionでは、そうした「連携のありがたみ」を感じやすい部分に特に注力しているような印象を筆者は受けた。
以下では、今回発表された10の機能を、さらに深く掘り下げてみたい。